奈良・大和郡山市の古民家で希少なアサダ市松パーケットを再生
インダストリアルパーケットの魅力と再生への挑戦
今回、奈良県大和郡山市にある古民家にて、非常に希少なアサダ材の市松模様で構成された「インダストリアルパーケット」の床を再生いたしました。今ではほとんど見かけることのなくなったこの施工方法ですが、当時の職人技と素材の良さが際立つ、美しい床材でした。

長い年月の中で傷みが進み、浮きや波打ちが目立っていたこの床材に対して、研磨・接着・再塗装の工程を通じて、新たな命を吹き込むことができました。

インダストリアルパーケットとは?
インダストリアルパーケットとは、細長く薄い板を数枚並べて1枚の正方形パネルにしたもので、一般的なフローリングとは異なり、台紙に貼り付けた状態で現場に搬入されます。これを下地に接着剤で並べて貼り、最後に表面を研磨して紙部分を削り取るという特殊な施工法です。
このようなパーケットは、昭和の一時期には工場や学校、公共施設などで多用されましたが、現在では施工技術者も減り、非常に貴重な存在となっています。
アサダとは?
アサダ(浅田)は、主に日本に自生する落葉広葉樹で、カバノキ科クマシデ属の樹木です。学名は Carpinus laxiflora、日本では「浅田」や「アサダケヤキ」とも呼ばれます。
特徴
- 材質:中程度の硬さでやや重く、非常に緻密な木肌を持ちます。肌触りはなめらかで、均一な木目が美しく、加工性も高いです。
- 色合い:やや赤みを帯びた明るい茶色。経年変化により、深みのある色合いに変化します。
- 使用用途:家具材、内装材、フローリング、建具などに使われます。特に「インダストリアルパーケット」などの特殊な床材として、かつては多用されていました。
- 入手性:近年では伐採量が減少しており、市場にはあまり出回らない希少材となりつつあります。
アサダは、国産材の中でも比較的知られていない存在ですが、きめ細やかな木肌と上品な色合いを持つ、美しい樹種です。現代ではあまり使われなくなった「パーケットフロア」や古い公共建築物に残ることもあり、リノベーションや再生の対象としても注目されています。
まぁ大別してカテゴリーはシルバーチェリー(カバザクラ / 樺桜)の中に入れておりますが、アサダの案件が増えてきたらまた分けようと思います。
施工前の課題|接着剤の劣化と床の波打ち
古民家の床材は年月とともに下地が緩み、床全体が波打つような状態になっていました。さらに、使用されていた接着剤も経年劣化によって弱くなり、あちこちでパネルが浮き上がっている状況でした。

そのため、浮きのある部分は丁寧に一度剥がし、改めて強力な接着剤を用いて再固定。その後、全面をしっかりと研磨して、古い塗装と汚れを取り除きました。

再塗装で生まれ変わるアサダの表情
研磨後の素地は、アサダ特有の淡い色味と繊細な木目が際立っていました。これに植物性のオイル塗装を施すことで、まるでチーク材のような深みのある高級感あふれる仕上がりとなりました。

アサダはその色調や杢目が美しいだけでなく、適度な硬さもあり、床材としての実用性も十分。そこにオイル塗装が加わることで、素材の持つナチュラルな風合いと、程よい艶が融合し、古民家の落ち着いた空間にぴったりの雰囲気となりました。

過去と今をつなぐ、床の再生
今回のように、かつては主流だったが今では見かけることの少ない施工方法や素材を扱う場合、ただ「直す」だけではなく、その歴史や背景に配慮しながら再生することが求められます。
エコロキアでは、無垢材や希少材を用いた床の補修・再塗装も数多く手がけてきました。古材の風合いを活かしつつ、現代の暮らしにフィットするように再生することで、お客様にとって“これからの時間”を安心して過ごせる空間づくりをお手伝いしています。
こんな方におすすめです
- 古民家や築年数の経った住宅の床を美しく再生したい方
- パーケットフロアを大切に使い続けたい方
- アサダやチークのような天然木の風合いを活かしたい方
- 自然塗装・オイル仕上げで素材を活かした仕上げを求める方
古き良きものを、これからも使い続けるために
床材は、日々の暮らしを支える大切な基盤です。とくに天然木や昔ながらのパーケットフロアは、しっかりと手をかければ、数十年先まで美しく使い続けることができます。
「床を張り替えるしかない」と思っている方も、ぜひ一度ご相談ください。研磨・補修・再塗装という方法で、今の床を再生できる可能性があります。


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