楽器が奏でられる人をまるで魔法使いぐらいにリスペクトしています。
そんなワケでこの年末年始の連休中にせめて1曲だけ「Fly Me to the Moon」が弾けるようにピアノを練習しています。
この50年、アルトリコーダーさえまともに吹けず、ほんの少し「猫ふんじゃった」の冒頭部分が弾けるレベルででしたが、毎日練習して少しずつではありますが上達してきました。
毎日ピアノに触れていると職業柄か「ピアノってどんな素材を使っているのだろう…」と気になりだしたので少し調べてみました。
そもそもピアノは18世紀初頭に登場し、鍵盤楽器(打鍵楽器)として改良を重ね、現在も広く親しまれています。
その歴史や進化の中で、使用される木材は音質や耐久性、美観に大きく関与してきました。
天然木専門店エコロキアの目線でピアノの歴史と主要なパーツごとに使用される木材について解説します。
1. ピアノの歴史
起源

- 鍵盤楽器の祖先:ピアノの起源はハープシコード(チェンバロ)やクラヴィコードに遡ります。
- ハープシコード:弦を爪で弾く構造で、音量の調整が困難。
- クラヴィコード:ハンマー状の金属が弦に触れることで音を出すが、音量が非常に小さい。
- ピアノの発明:
- 1700年頃、イタリアの楽器製作者バルトロメオ・クリストフォリが「フォルテピアノ」を発明。
- フォルテピアノは、弦をハンマーで打つことで音量の調整が可能になった最初の鍵盤楽器です。
改良と進化
- 18世紀後半:音域の拡大やハンマーの改良が進む。
- 19世紀:鉄フレームの導入により弦の張力が増加し、大音量と多彩な表現が可能に。
- 20世紀:現在のグランドピアノやアップライトピアノの形が確立される。
2. ピアノの構造と使用される木材
さて、本題のピアノに使用されている木材について。
ピアノの音質や耐久性は、使用される木材の種類に大きく依存します。ピアノを構成する主要なパーツとそれぞれに適した木材を紹介します。
フレーム(支柱)

- 役割:ピアノ全体を支える骨格で、耐久性が求められる。
- 使用される木材:
- マツ(松):強度と軽量性を兼ね備えているため、支柱や内側の構造に使用。
- カエデ(メープル):硬く、耐久性が高いため、負荷がかかる部分に適している。
- 特徴:
- 頑丈さが必要であるため、密度が高く硬い木材が選ばれます。
② 響板(サウンドボード)

- 役割:弦の振動を受けて共鳴し、音を増幅する重要なパーツ。
- 使用される木材:
- スプルース(トウヒ):
- 音響特性が優れ、軽量で弾力性がある。
- 高い共鳴性能を持つため、多くの高級ピアノに採用。
- スプルース(トウヒ):
- 特徴:
- 響板の木材選びはピアノの音質を大きく左右します。
- 木目が均一で年輪が細かいスプルースが最適。
ハンマー

- 役割:鍵を押すとハンマーが弦を打ち、音を発生させる。
- 使用される木材:
- カエデ(メープル):
- 硬くて反発力が高く、ハンマーのシャンク(軸)に使用。
- ウォルナット:
- 振動吸収が少なく、耐久性が必要な部分に適合。
- カエデ(メープル):
- 補足:
- ハンマーの先端にはフェルトが貼られ、音色の調整が可能です。
鍵盤

- 役割:演奏者が触れる部分で、滑らかさや反応性が求められる。
- 使用される木材:
- スプルース(トウヒ):
- 軽量で反応が良いため、鍵盤本体に使用。
- 黒檀(エボニー)(黒鍵部分):
- 高密度で耐摩耗性に優れ、手触りが良い。
- 象牙(過去):現在は法律で制限され、合成素材や特殊な木材で代用。
- スプルース(トウヒ):
- 特徴:
- 鍵盤の木材は、演奏感や耐久性を考慮して選定されます。
弦枠(フレーム)

- 役割:弦を張るための土台で、張力を支える重要な部分。
- 使用される木材:
- ブナやオーク(ナラ):
- 高い剛性が必要で、鉄フレームと一体化して使用されることが多い。
- 硬質のマホガニー:
- 音響効果を補完する役割もある。
- ブナやオーク(ナラ):
- 補足:
- 現代のピアノでは金属フレーム(鋳鉄)が主流ですが、木材も重要な構造材として使用されます。
外装

- 役割:ピアノの美観を左右する部分で、装飾性が求められる。
- 使用される木材:
- マホガニー:
- 光沢があり、美しい杢目を持つ高級材。
- ウォルナット:
- 温かみのある色合いと美しい杢目で人気。
- ローズウッド:
- 高級感のある木材で、特別な装飾ピアノに使用。
- マホガニー:
- 補足:
- 外装は塗装や仕上げが重要で、美しい杢目を活かしたピアノが好まれます。
3. ピアノにおける木材の重要性
ピアノに使用される木材は、音響特性と耐久性の両方を満たすことが求められ、木材の種類や品質が、ピアノの音色や寿命に大きな影響を与えます。木材の乾燥や加工技術も重要で、適切な環境で製作されることで最高の性能を発揮します。
現代のピアノ製作では、環境保護の観点から一部で合成素材やリサイクル木材が使用されることもあります。それでも、響板やハンマーなど音質に直結する部分では、天然木材が依然として選ばれています。
まとめ
ピアノはその長い歴史の中で、進化を遂げながらも木材の選定と加工技術が変わらず重要な役割を果たしてきました。特にスプルースやマホガニーなどの高品質な木材が音響性能や美観に寄与しています。
各パーツに適した木材を選ぶことで、音色や耐久性が最適化され、ピアノの魅力が引き出されています。
まぁこれが分かったところで僕のピアノの腕前は一向に向上しませんが…。
あと2日間、猛特訓して格好良く弾けるようになりたいなぁ。

コメント