ヘリンボーンは一枚で空間の印象を変える魔法のデザイン
フローリングの中でも、視線を奪うような存在感を放つ「ヘリンボーン」。伝統的な意匠でありながら、現代のミニマル建築やナチュラルインテリアにも美しく溶け込むそのパターンは、住空間にリズムと品格を与えます。
しかし、ひと口にヘリンボーンといってもその中には大きく3つの種類が存在し、それぞれに角度や印象が異なることをご存じでしょうか?
今回は、イタリアンヘリンボーン(直角)、フレンチヘリンボーン(45度)、ハンガリアンヘリンボーン(60度)の3つを取り上げ、特徴や歴史、デザイン性の違い、施工上の注意点まで徹底解説します。
ヘリンボーンとは?|ニシンの骨に由来するクラシックパターン
「ヘリンボーン(herringbone)」とは、英語で“ニシンの骨”を意味します。細長い木材をV字に交互に組み合わせることで生まれるこの模様は、古代ローマ時代の石畳にも使われていた伝統あるデザインです。

床材としてのヘリンボーンは、19世紀のヨーロッパ貴族の邸宅などで好まれ、クラシカルで格調高い空間を演出してきました。現在ではその格式に加え、モダン建築との親和性も評価され、リノベーションや高級マンションなどでも人気が高まっています。
イタリアンヘリンボーン(直角)|シンメトリーが際立つ王道スタイル

特徴
- 角度:90度
- 形状:短冊状の木材を直角に交互に配置
- 印象:安定感があり、リズミカルで正統派な印象
メリット
- クラシカルな内装や重厚な家具との相性が抜群
- 短辺と長辺が明確に組まれるため、視線が交差しにくく落ち着いた空間に
おすすめの空間
- 書斎や応接間、伝統的な洋館、ブティックホテルなど
- 天井が高く広い空間に特に映える
フレンチヘリンボーン(45度)|シャープでエレガントな斜めの美学

特徴
- 角度:45度
- 形状:端が斜めにカットされた木材を交互に突き合わせる
- 印象:シャープでモダン、フレンチスタイルに最適
メリット
- 木材の接合部分がピッタリ合わさることで滑らかな面が生まれる
- 奥行き感があり、空間を広く見せる視覚効果がある
おすすめの空間
- フレンチモダン、北欧風インテリア、カフェやレストラン
- 柔らかい間接照明やアンティーク家具との相性も良い
ハンガリアンヘリンボーン(60度)|繊細で現代的なトレンドスタイル

特徴
- 角度:60度
- 形状:緩やかなV字が連なる構成
- 印象:洗練されており、スタイリッシュで都会的
メリット
- 視覚的に流れるような美しさ
- 木目や色のグラデーションが映えやすい
おすすめの空間
- モダン住宅やオフィス、アートギャラリー、デザイナーズホテル
- コントラストのあるカラーリングや照明演出との組み合わせに最適
角度による視覚効果の違い
| タイプ | 角度 | 印象 | 空間への効果 |
|---|---|---|---|
| イタリアン | 90° | 格調高い・安定感 | 空間を引き締める |
| フレンチ | 45° | シャープ・動きがある | 奥行きを演出 |
| ハンガリアン | 60° | 洗練・柔らかい流動性 | 開放感を与える |
角度が浅くなるほど、空間に「流れ」や「広がり」を与える印象が強くなります。反対に、90度のイタリアンは「区切り」や「重厚感」をもたらすため、使う空間の意図によって使い分けると良いでしょう。
施工時の注意点と選び方のポイント
木材の選定
- 硬さと加工性のバランスが取れた樹種(例:オーク、チーク、ウォルナットなど)がおすすめ。
- 節や色ムラを生かすなら、あえてラフグレードを選んでも◎。
接着・ジョイント
- フレンチやハンガリアンは端が斜めにカットされているため、正確な寸法とカットが重要。
- 無垢フローリングよりも複合フローリングの方が寸法精度が高いためオススメ。
- 特にハンガリアンは施工難易度が高いため、経験豊富な職人に依頼するのが安心です。
床暖房対応の可否
- 無垢材のヘリンボーンは床暖房には向かない場合もあるので、複合フローリングを選ぶのも一案です。
あなたの理想の空間にぴったりなヘリンボーンはどれ?
ヘリンボーンの持つ美しさは、単なる装飾以上の価値があります。それぞれのパターンには歴史と文化、空間に与える印象の違いがあり、選び方次第でお部屋の雰囲気が一変します。
- 王道で重厚なイタリアン(直角)
- 洗練されたエレガンスのフレンチ(45度)
- モダンで空間に流れを生むハンガリアン(60度)
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