新入社員の整理整頓から発見されたサンプル
エコロキアでは無垢フローリングや複合フローリング、羽目板、ウッドデッキ材など多くの木材を扱っています。
昨日、新入社員がカットサンプルの棚を丁寧に整理してくれたのですが、その際に「定番ラインナップには含まれていない樹種」がいくつも見つかりました。
どれも木材としては魅力的ですが、需要が限られていたり、輸入の最低数量が多すぎたり、価格が高すぎたりするため、実際にはあまり流通していない商品です。今回は、そうした“珍しいけれど市場では見かけにくいフローリング材”をご紹介します。
クク(マンデリンウッド)の無垢フローリング
深みある赤褐色と重厚な質感
ククはインドネシアのスマトラ島で産出される広葉樹で、別名「マンデリンウッド」とも呼ばれます。赤褐色の深みのある色合いと硬質な材質が特徴で、家具や床材に用いると重厚感のある空間を演出できます。

オークやウォルナットにはない独特の存在感を持ち、無垢フローリングとして施工すれば、落ち着いた高級感を楽しめます。ただし、建材としては安定供給が難しく、輸入数量の確保や価格面での課題があるため、国内ではほとんど流通していません。今回サンプル棚を整理した際に出てきたクク材は、その魅力を改めて再認識させてくれるものでした。
定番化しなかった理由
ただし、建材としては安定した輸入が難しく、赤茶けた色調とラワン材のような杢目が今のトレンドではなく国内需要も限られるため、常時扱う会社はほとんどありません。新入社員の整理で出てきたサンプルは、改めてメルバウとキャラが被るかな…と。
マグノリア(ホオ / 朴)の無垢フローリング
柔らかく淡い色合い
マグノリアは日本では「ホオの木」として知られ、古くから建具材や器物などに利用されてきました。柔らかで淡い色合いと、落ち着いた木目が特徴で、和室やナチュラルテイストの住宅によく馴染みます。

欧米でも「マグノリア」と呼ばれ、家具や楽器材として人気があります。無垢フローリング材として施工すれば、穏やかでやさしい雰囲気の空間が実現できますが、大ロットでしか仕入れができず安定した在庫確保が困難なため、定番商品化は見送られてきました。今回発掘されたサンプルからは、静けさと柔らかさを兼ね備えた独特の魅力が感じられます。
定番にならなかった理由
エコロキアでも過去に一度だけ国産のマグノリア(ホオ / 朴)無垢フローリングを販売したことがあるのですが国産ということもあり仕入れ値が非常に高く一般販売は諦めました。
竹チップを固めた人工木ウッドデッキ
サステナブル素材として注目
竹を細かくチップ状にし、樹脂で固めて成形した人工木ウッドデッキ材です。竹特有の繊維感が独特の表情を生み出し、天然木にはない均質さや耐久性を持ち合わせています。

さらに竹は生育が早いため、環境負荷の少ないサステナブル素材としても注目されています。ただし、まだ量産体制が整っていないため輸入制約が多く、コストも高めに設定されがちで、日本国内で広く普及するには至っていません。今回のサンプル整理で出てきた竹チップ人工木は、環境配慮型建材の将来性を改めて感じさせる一枚でした。
流通が少ない理由
環境配慮型の素材として非常に期待していますが、輸入制約やコストの面でまだ日本では広く普及していません。今回見つかったサンプルは、その可能性を感じさせるものでした。
アスペンの羽目板
明るい内装に映えるポプラ系樹種
アスペンは北米原産のポプラ系樹種で、日本語では「ヤマナラシ」とも呼ばれます。軽量で加工性に優れており、柔らかな淡い色合いが魅力。

羽目板に用いられると明るく清潔感のある空間を演出でき、ナチュラル志向の住宅や店舗に適しています。均一な仕上がりが得られるため、壁材や天井材として高いポテンシャルを持っていますが、輸入単位が大きく、国内需要と供給のバランスを取るのが難しいため、定番商品としては扱われにくいのが現状です。サンプル棚から出てきたアスペン材は、改めてシンプルで美しい内装材の可能性を示していました。
採用が進まなかった理由
輸入単位が大きく、需要とのバランスを取るのが難しいため、国内ではあまり流通していません。棚から発掘されたサンプルは、その柔らかな表情を再確認できるものでした。
ヒッコリーの複合フローリング(芯材アカシア)
力強い木目と高い強度
ヒッコリーはアメリカで古くから野球のバット材として利用されてきた強靭な木材です。その力強い杢目と高い耐久性はフローリングにすると一層際立ち、ワイルドで存在感のある空間をつくり出します。
ただし、無垢材での安定供給は難しく価格も高いため、芯材にアカシアを用いた複合フローリングという形で流通するケースが多いのが実情です。今回のサンプルもそうした仕様で、木目の美しさと安定性を兼ね備えた一枚でした。流通量は少ないものの、個性的な空間づくりを求める方にとっては魅力的な素材です。
定番化を阻んだ理由
価格が高く、安定供給が難しいため、芯材にアカシアを使用した複合フローリングでの取り扱いに限られます。市場で広がらなかった背景を物語る一枚です。
エルム(ニレ / 楡)の複合フローリング
独特な波状の杢目
エルムは日本で「ニレ」として知られる木材で、欧米では古くから家具や器具材に使われてきました。最大の特徴は波打つように入り組んだ美しい木目で、他の樹種では得られない独特の表情を持っています。

しかし、無垢材では反りや狂いが大きく施工後の安定性に課題があるため、複合フローリングとして利用されることが一般的です。需要が限られるため輸入ロットが大きすぎる点が課題で、国内では定番化しませんでした。サンプル棚から見つかったエルム材は、その独特の存在感を改めて感じさせる一枚でした。
流通しにくい理由
無垢材では狂いが出やすいため複合フローリングに加工されますが、需要が限られており、大規模輸入が難しいため広く普及しませんでした。
サペリの複合フローリング
マホガニーに似た高級感
サペリはアフリカ原産の樹種で、マホガニーに似た赤褐色の美しい光沢を持つ高級材です。深みのある色合いと光の当たり方で表情が変わる特性は、高級ホテルや邸宅の床材にふさわしい存在感を放ちます。

複合フローリングとして施工性を高めたものもありますが、輸入数量が多く、価格も高いため、国内では広く流通することはありませんでした。サンプル整理で再び姿を見せたサペリ材は、高級感のある空間づくりを志向する方にとって魅力的な素材であることを思い出させてくれます。
採用を見合わせた理由
複合フローリングにすることで施工性は高まりますが、輸入数量の条件や価格面で定番化せず、市場での取り扱いは限定的です。
定番化しなかった木材にも魅力あり
今回、新入社員がカットサンプル棚を整理してくれたことで見つかった、クク、マグノリア、竹チップ人工木、アスペン、ヒッコリー、エルム、サペリ。どれも魅力的な木材ですが、需要の少なさや輸入条件、コストの高さといった理由から「広く流通する定番商品」とはなりませんでした。
それでも、これらの樹種には独自の魅力があり、特定のデザインやこだわりを求める方にとっては価値ある選択肢となります。もし「気になる」「使ってみたい」と思われる方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。数量やタイミングによってはご案内できる可能性があります。
エコロキアは、無垢フローリングや複合フローリング、羽目板、ウッドデッキを通じて、木と共に暮らす楽しみをご提案しています。定番化しなかった木材との出会いもまた、住まいづくりを豊かにしてくれる一歩となるでしょう。




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