エコロキア家具お役立ち情報ブラックウォルナットレジンテーブル | ウッドリバーテーブル

ブラックウォルナットとグレーのレジンが生む深み。研磨で学ぶ「不便を楽しむ」精神

布でレジンテーブルの表面を仕上げる新入社員。#10000番までの研磨を目指して奮闘中。 エコロキア家具
仕上げに近づくにつれてレジン面の艶が増し、木目の奥行きが際立っていきます。研磨はまさに職人の修行。

再挑戦の朝。小さな傷から始まる大きな学び

エコロキアの工房では、今日も新入社員研修が行われています。
テーマは「レジンテーブルの研磨」。今回の素材は、ブラックウォルナットとグレーのレジンを組み合わせた一枚。深みのある木目と、落ち着いたグレートーンのレジンが絶妙に調和した美しい作品です。

実はこのテーブル、先週も一緒に研磨を終えたばかりでした。

しかし、光の角度を変えて見たところ、ごく小さな傷がいくつか見つかりました。完成したと思っていたその瞬間に現れる“現実”。それでも、そこで妥協せず「もう一度やり直そう」と言えるのが、エコロキアのものづくりの姿勢です。今日はその傷を完全に消し、より完璧な鏡面へと磨き上げる再挑戦の日です。

#40から#10000まで。賽の河原のような研磨修行

レジンテーブルの研磨は、一見単純に見えて実はとても奥が深い作業です。#40の粗削りから始まり、#10000の超微粒子まで、十数回の番手を順番に上げながら行います。途中で見つかった傷は、その傷が消える番手まで“戻ってやり直し”。つまり、たった1箇所の見落としが、数時間の作業を無駄にしてしまうのです。

今回のように、ブラックウォルナットとグレーのレジンを組み合わせたテーブルは特に難易度が高い素材です。木の柔らかさとレジンの硬さが違うため、研磨の力加減を少しでも誤ると面が波打ってしまう。さらに、グレーのレジンは光の反射で微細な傷が非常に目立つため、完璧な仕上げが求められます。

レジンテーブルの研磨に挑戦する新入社員。エコロキアの工房で#40から#10000まで磨き上げる研修の様子。
エコロキアの工房で行われた新入社員研修の様子。粗研磨から鏡面仕上げまで、レジンテーブルの表面を丹念に整えています。

新入社員たちは、息を止めるような集中で研磨布を動かしながら、指先の感覚で表面の滑らかさを確かめていきます。指でスッと撫でて、ほんのわずかな引っかかりを感じれば、「まだだ」と判断してやり直す。これを繰り返しながら、ようやく“理想の面”に近づいていくのです。

小姑のように指で撫でる、厳しくも温かい指導

「ここ、まだ少し傷があるね。」
そう言いながら、僕が指でサッと表面を撫でる。まるで小姑のような指摘ですが、それこそが職人の目と手の感覚です。照明の角度や反射を変えながら傷を探すその様子は、一見するといじわるで終わりのない作業。しかし、そこには確かな技術と経験が詰まっています。

新入社員にとっては厳しい瞬間でもあり、同時に大切な学びの時間でもあります。「やりたくはないけれど、やらなければならない」。その積み重ねが、確実に手の感覚を鍛えていくのです。

研磨が教えてくれる「手をかけることの意味」

エコロキアの理念「不便を楽しむ」は、この研磨作業に象徴されています。効率を追求するだけなら、機械で表面を均一に磨くことも可能でしょう。しかし、私たちが目指すのは“機械では出せない艶”。木が呼吸し、光を柔らかく反射する“生きた仕上げ”です。

レジンテーブルの表面を布で磨き上げる新入社員の手元。木目とレジンが一体となる瞬間を捉えた写真。
光沢が出始めたレジン面を丁寧に磨き上げる様子。微細な傷を見逃さない集中力が求められます。

手で磨くことでしか感じ取れない、木のわずかな凹凸。レジンと木の境界線がどこにあるのかを指先で確かめながら、全体をなじませていく。こうした繊細な作業こそが、エコロキアのレジンテーブルが持つ深い表情を生み出しています。

ブラックウォルナットとグレーのレジン。その魅力と難しさ

ブラックウォルナットは、木材の中でも特に人気の高い高級材。深いブラウンと時折見せる紫がかった色合いが特徴で、光の角度によってまるで金属のような艶を放ちます。そこにグレーのレジンを組み合わせることで、木の温もりにモダンな印象が加わり、空間全体が引き締まるような美しさが生まれます。

エコロキアの新入社員が、木目の美しい無垢板とレジンを手作業で磨き上げる様子。
無垢材の自然な杢目とレジンの透明感を融合させるため、一つひとつの動作を慎重に行います。

しかしこの組み合わせは、美しい反面、仕上げの難易度も非常に高いのです。ウォルナットの木目は濃淡が強く、レジン部分との境界で磨きムラが出やすい。そのため、#10000番までの細やかな研磨を経て初めて、木とレジンがひとつの表面として溶け合います。
今日の研修では、その最終仕上げに挑んでいます。

完成に近づくたびに増す緊張と達成感

#10000番の研磨が終わる頃、レジン面はまるで湖面のように光を映し、木目が奥行きをもって浮かび上がります。その瞬間、新入社員たちは息をのみます。あの地道なやり直しが、確かに結果につながっている。磨けば磨くほど、素材が応えてくれる。この実感こそが職人を育てる原動力です。

一緒に磨いた先週の記憶がよみがえる。「あの時よりもずっと綺麗だね。」という一言が、何よりの励みになります。仕上がった天板に映る光のグラデーションは、単なるテーブルではなく“努力の証”です。

手で磨き、心を磨く。職人の原点

レジンテーブルの研磨は、技術を磨くだけではなく、心を整える時間でもあります。焦らず、諦めず、何度でもやり直す。これは仕事においても人生においても同じこと。失敗を恐れず前に進む姿勢が、本当の成長をもたらします。

エコロキアでは、木材やレジンと向き合うことを通じて、「手をかけることの贅沢」「不便を楽しむことの豊かさ」を若いスタッフたちに伝えています。今回のように小さな傷ひとつを見逃さない姿勢こそ、ものづくりの原点です。

今日のやり直しが、明日の美しさになる

ブラックウォルナットとグレーのレジンが織りなす深い表情。その美しさは、手をかけた分だけ応えてくれる素材の魅力でもあります。小さな傷を見つけて再び磨き直すこと。それは失敗ではなく、完成度を高めるための大切な一歩。今日の研修を通じて、新入社員たちはまた一段と職人として成長しました。

これからもエコロキアでは、「不便を楽しむ」精神のもと、ひとつひとつの作品に心を込めていきます。

コメント