上質な空間づくりにおいて、床は単なる「歩くための面」ではなく、空間全体の印象を左右する重要な要素です。今回ご紹介するのは、ブラックウォルナット無垢フローリングにスピンドルカットと呼ばれる特殊加工を施した一枚。

無塗装の状態で納品後、設計士の提案により漆塗り仕上げが施される予定です。
彫刻のような立体感と漆塗りによって仕上げられる予定のこのフローリングは、まさに“現代に蘇る工芸品”と言える存在です。
スピンドルカットとは|紡錘形が生み出すリズムと陰影
彫刻的な美しさを持つ規則的な模様
スピンドルカットとは、表面に紡錘形(スピンドル=spindle)を思わせる彫り模様を連続的に施した加工法のことです。
光を受ける角度によって陰影が生まれ、床一面に流れるようなリズム感を与えます。手仕事のような柔らかさを保ちながら、直線的で洗練された印象を両立できるのが特徴です。
この加工によって、木材の持つ自然な杢目と人工的なリズムが融合し、クラシカルでありながらモダンな雰囲気を演出します。まるで職人が一つひとつ彫り込んだような立体的な表情は、空間に奥行きをもたらします。
ブラックウォルナットとの相性
深みのある色調と美しい木目が魅力のブラックウォルナットは、スピンドルカットとの相性が抜群です。ウォルナット特有の濃淡が彫りの影と重なり合い、光が差し込むたびにまるで波のような表情を見せてくれます。

無垢材ならではの重厚感とやわらかさを両立した仕上がりです。
特に自然光の多い空間では、時間帯によって異なる陰影が現れ、昼と夜でまったく違う印象を楽しむことができます。
無塗装の状態が教えてくれる「素材の真実」
素地の美しさをそのままに
今回撮影した段階では、まだ無塗装の状態。
塗膜に覆われていないため、ブラックウォルナットの質感がダイレクトに感じられます。触れるとわずかに感じる木肌の温もり、スピンドルカットの柔らかな起伏が手のひらに伝わり、「木と生きている」という感覚を味わえる瞬間です。
塗装を施す前の無垢材は、最も自然な呼吸をしている状態。それはまるで仕上げ前のキャンバスのように、これからの仕上げによってどんな表情にも変化できる“可能性”を秘めています。
設計士が提案する「漆塗り」という選択
このブラックウォルナットには、施工後に設計士の推薦によって漆塗りが施される予定です。漆塗りは、古くから日本建築において高級な仕上げとして用いられてきた技法。天然の樹液を用いることで、塗膜が呼吸し、時を経るごとに艶と深みが増していきます。
木の温もりを閉じ込めるのではなく、むしろ引き出すような仕上げ方で、ブラックウォルナットの魅力を最大限に引き立てます。
職人技とデザインが融合した「空間をつくる床」
高級感と伝統美を兼ね備えた意匠
スピンドルカットによって生まれる立体的な陰影は、ホテルのラウンジや迎賓館のような格式ある空間にもよく似合います。一方で、シンプルなモダン住宅に取り入れても、不思議と主張しすぎず、空間に静けさと高級感を添えます。それは「木」という素材が本来持つ包容力と、職人の技が融合した結果です。
無垢フローリングだからこその経年変化
年月を重ねるほどに味わいが深まるのも、無垢フローリングの魅力。

無塗装の状態でも木目が際立ち、ブラックウォルナットの上質な質感が感じられます。
スピンドルカットの起伏部分に光沢が増し、陰影がより際立っていく様は、時間の経過そのものが美しさを育てているようです。傷やへこみさえも「物語」として残るのが、無垢材の床の良さ。
人工的な均一さではなく、“暮らしの跡が風景になる”のです。
エコロキアが提案する「不便を楽しむ」床づくり
手間をかけることで得られる本物の贅沢
無垢のフローリングは、決してメンテナンスフリーではありません。
乾燥や湿気、季節の変化に応じて木が動き、微妙な隙間が生まれることもあります。しかしその「不便さ」こそ、自然素材と暮らす醍醐味。ひと手間かけてオイルを塗り、磨き、育てていく。その過程こそが本物の贅沢だと、エコロキアは考えています。
素材を活かす空間設計のパートナーとして
私たちエコロキアは、単なる木材販売業者ではありません。
素材の表情を設計士やデザイナーとともに引き出すパートナーでありたいと考えています。無垢材を理解し、活かし、空間に命を吹き込む。スピンドルカットや漆塗りといった伝統的な技法を現代の空間設計に取り入れることで、時代を超えて愛されるインテリアを共に創り上げていきます。
スピンドルカットが魅せる新しい無垢の表情
スピンドルカットを施したブラックウォルナット無垢フローリングは、単なる床材を超えた「芸術的な空間要素」です。
無塗装から漆塗りへと仕上げを重ねることで、素材が呼吸し、時を経てより深みを増していく。クラシカルでありながらモダン、重厚でありながら柔らかい。
そんな相反する魅力を一枚の床に閉じ込めた作品です。
よくある質問
- Qスピンドルカットやスプーンカットとはどんな加工ですか?
- A
スピンドルカットは紡錘形の彫り模様を連続して施す加工で、規則的なリズムと陰影が生まれます。一方、スプーンカットはスプーンで削り取ったような柔らかな凹凸が特徴で、手仕事のような温もりを感じさせます。どちらも無垢材の表情を引き立て、光の反射によって美しい陰影を生み出します。
- Q表面特殊加工はどんな樹種にも施せますか?
- A
ほとんどの広葉樹(オーク・ウォルナット・チェスナットなど)に加工可能です。ただし、木の硬さや導管の構造によって仕上がりの印象が変わります。たとえばオークはブラッシングで木目が際立ち、ウォルナットはスピンドルカットで陰影が映えるなど、樹種ごとの個性を活かす加工をご提案しています。
- Q加工面はメンテナンスが難しくなりますか?
- A
通常のフラット仕上げに比べると多少の手間は増えますが、定期的にオイルを塗布することで長く美しさを保てます。凹凸部分に埃が溜まりにくい設計の加工も多く、むしろ「経年変化を楽しむ」スタイルにぴったりです。ウレタン塗装・自然塗料どちらにも対応可能です。
- Q表面特殊加工の床はどんな空間におすすめですか?
- A
高級感や個性を演出したいリビング、店舗、ギャラリーなどに最適です。スピンドルカットはクラシカルな空間に、スプーンカットはナチュラルな空間に、スクラッチ加工はヴィンテージスタイルによく合います。照明やインテリアとの組み合わせで、空間全体の印象が変わります。
- Q実物を見たり触ったりすることはできますか?
- A
はい。エコロキアでは各種特殊加工を施した無垢フローリングのカットサンプルを無料でお送りしています。また、芦屋のショールームでは、実際に手で触れながら加工の違いを体感していただけます。


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