無垢フローリングは使い込むほどに味わいが増していきますが、同時に「傷」や「汚れ」、「凹み」といった経年変化も避けられません。今回は、兵庫県神戸市東灘区の一戸建てに施工されていたヒノキ FJL 無垢フローリング【無節】15×150×1820mmの補修を行いました。
一般的にFJL(フィンガージョイントラミネート)は敬遠されがちですが、ヒノキ材ならではの柾目基調が美しく、再生後はむしろ「暮らしの中で息づく木材の魅力」が引き立つ仕上がりとなりました。今回の施工事例紹介では、その施工過程とオイル仕上げを選んだ理由を詳しくご紹介します。
ヒノキ FJL 無垢フローリングとは
FJL(フィンガージョイントラミネート)の特徴
FJLとは、小さな木片をフィンガージョイントで継ぎ合わせてパネル状にした素材です。無垢材の端材を有効利用できるため環境に優しく、安定性も高いのが特長です。
ただし、樹種や加工によっては「継ぎ目のパッチワーク感」が目立ち、天然木の一枚板に比べて見劣りすると感じられる方も少なくありません。
ヒノキのFJLが特別な理由
ヒノキは日本を代表する針葉樹で、木肌の美しさと香りが大きな魅力です。今回のフローリングは柾目基調のFJLで構成されており、継ぎ目が比較的目立たず、統一感のある落ち着いた印象を与えていました。これが他のFJL製品とは異なる魅力となっています。
補修が必要となった背景
針葉樹特有の弱点
ヒノキは柔らかい木材であるため、長年使ううちに「小さな傷」や「凹み」が増えやすく、また汚れが表面に定着しやすい傾向があります。今回のお住まいでも、表面には無数の傷と汚れが見受けられました。

元々の仕上げはウレタン塗装
当初はウレタン塗装仕上げが施されていました。ウレタン塗装は耐水性・耐摩耗性に優れている反面、傷がついた場合には部分補修が難しく、広範囲を塗り直す必要があるというデメリットがあります。
補修と仕上げ直しの工程
研磨によるリフレッシュ

まず、フローリング表面の汚れや劣化した塗膜をサンディングで削り落としました。
- 粗い番手から徐々に細かい番手へと切り替え
- 深い傷や汚れを取り除きながら、木肌本来の質感を蘇らせる
研磨を進めるにつれ、ヒノキ独特の淡い色合いと柔らかな木目が再び顔を出しました。
オイル仕上げへの切り替え

今回は再塗装にあたり、ウレタンからオイル仕上げへ切り替えました。
- オイル仕上げのメリット
- 木の呼吸を妨げない自然な仕上がり
- 局所的な傷や汚れも補修がしやすい
- 経年変化を楽しみやすい
- デメリット
- 耐水性や耐摩耗性はウレタンより劣る
- 定期的なメンテナンスが必要
しかし、日常的に木の手触りや質感を楽しみたい方にとっては、オイル仕上げが最適といえます。
施工後の仕上がりと今後のメンテナンス
補修を終えたヒノキのFJLフローリングは、柾目の美しさが際立ち、柔らかく温かみのある空間を演出しています。
オイル仕上げにしたことで、今後はご自身での簡単なメンテナンスが可能となり、「暮らしの中で木を育てていく楽しみ」を味わえるフローリングへと変わりました。
ヒノキFJLフローリング再生の価値
今回の事例では、ヒノキFJL無垢フローリングの補修を通じて、FJLの新たな可能性とオイル仕上げの魅力を再発見することができました。柔らかい木材ならではの弱点はあるものの、適切なメンテナンスを行えば、むしろ「経年変化を楽しむ暮らし」が実現できます。
無垢フローリングの再生を検討されている方にとって、本記事が参考になれば幸いです。

