
ハナモモ(花桃)
花のために育てられ、
木として語られなかった存在。
ハナモモは、「役割を終えた後の美しさ」を受け取れる人のための木です。
ハナモモ(花桃)の特徴
ハナモモ(花桃)は、バラ科サクラ属モモ亜属に属する落葉小高木で、果実利用を目的としたモモとは異なり、観賞用として改良・栽培されてきた樹種です。
日本各地で庭木や街路樹として親しまれ春には華やかな花で季節を知らせてきました。
木材としての評価はほとんど確立されておらず、市場流通も極めて限定的です。
それは材が劣るからではなく伐る理由がなかった木だからです。
幹は大径になりにくく、使える材積も限られます。
そのため、構造材や建材として扱われることはありません。
ハナモモは「使うために育てられた木」ではなく、眺めるために存在してきた木です。
ハナモモ(花桃)の主な性質
ハナモモの材は比較的硬くモモ属らしい緻密さを持っています。
比重は中程度からやや高めで、刃物の入りは決して軽くありません。
木肌は細かく、丁寧に仕上げると滑らかな表情になります。
色味は淡紅褐色から黄褐色で、経年によって落ち着いた色調へと変化します。
木目は細かく穏やかですが部分的に動きが出ることもあり、小物材や彫刻材としての適性を持っています。
注意点としては、
- 材が小径で量が取れない
- 反りや割れが出やすい
- 安定供給が不可能
このためハナモモは用途を前提に選ぶ木ではありません。
縁と巡り合わせで出会う素材です。
よくある質問
- Qハナモモ(花桃)は木材として使えるのですか?
- A
物理的には使用可能ですが、建材や家具材として流通する木ではありません。主に小物や彫刻、記念的な用途に限られます。
- Qモモ(果樹)との違いはありますか?
- A
同じ属ですが、ハナモモは観賞用に改良されており、果実利用を前提としたモモとは育成目的が異なります。材としての性質は近いものの、流通状況は大きく異なります。
- Qなぜ市場に出回らないのですか?
- A
花を楽しむ目的で育てられてきたため、伐採・製材される前提がありません。材が悪いからではなく、用途がなかったためです。
- Q現代で使われる場面はありますか?
- A
庭木の更新や伐採時に出た材を、記念品や工芸品として使う例があります。大量利用ではなく、意味を持たせる使い方が中心です。
- Q似た位置づけの木材はありますか?
- A
サクラ類やウメなど、観賞用として育てられ、木材利用が副次的な樹種が近い存在です。
ハナモモ(花桃)のコラム
ハナモモは最初から使われるための木ではありません。
花を咲かせ、季節を告げ、役目を終えたあとにようやく木として現れる。
それは性能でも、効率でもない価値。
思い出と一緒に形を変える素材です。
ハナモモ(花桃)は「最後に受け取る美しさ」を静かに残す木です。