コラムフローリング・床材施工・納品事例

杉の無垢フローリングは研磨でどこまで戻せるのか

コラム

杉無垢フローリングが黒ずんで見える理由

汚れが原因なのか木が劣化しているのか

杉の無垢フローリングが黒ずんできたと相談を受けることはとても多いです。ただ実際に現場を見てみると、木そのものが劣化しているケースはほとんどありません。多くの場合は、表面に塗られていたワックスに汚れが蓄積し、それが酸化して色が濃く見えているだけです。

長年使用された杉の無垢フローリングの研磨前の状態。表面に黒ずみや汚れ、経年変化が見られる
研磨前の杉の無垢フローリングです。
長年の使用による黒ずみや色ムラがあり、ワックスに汚れが蓄積している状態でした。
無垢フローリングは、このように使い込まれた表情からでも再生が可能です。

杉は柔らかい樹種なので、細かな傷がつきやすく、その凹凸に汚れが入り込みやすい特徴があります。この状態を見たときに「もう寿命だ」と判断してしまうのは、少し早いかもしれません。表面を一度リセットすることで、本来の杉の色味が戻る可能性は十分にあります。

再塗装だけでは解決しないケース

黒ずみが気になると、上からワックスを塗り直せば何とかなるのではと考える方もいます。しかし、既に汚れが塗膜の中まで入り込んでいる状態では、再塗装だけでは見た目はほとんど改善しません。
むしろ色がさらに濃くなり、ムラが強調されてしまうこともあります。

杉無垢フローリング研磨前のアップ。表面の汚れと色の濃淡がはっきり分かる状態
近くで見ると、杉特有の木目は残っているものの、表面の汚れが目立ちます。
この状態では再塗装だけでは不十分なため、研磨によるリセットが必要になります。

この段階まで来ている場合は、研磨によって表面そのものを削り、素地を出す必要があります。
ここを見極めることが、再生できるかどうかの最初の判断ポイントになります。

研磨という工程が持つ意味

研磨は削る作業ではなく整える作業

研磨という言葉から、大きく削ってしまうイメージを持たれることがあります。しかし実際の研磨は、必要以上に木を減らす作業ではありません。

杉無垢フローリングを研磨途中の様子。研磨前と研磨後の色の違いがはっきり分かる
研磨途中の一枚です。削り進めた部分は明るく、木本来の色が戻ってきています。
研磨前との違いがはっきりと分かる工程です。

表面に残った汚れや古い塗膜を段階的に落とし、木の状態を均一に整えていく作業です。一気に削ってしまうと、凹凸が残ったり、必要以上に厚みを失ってしまいます。そのため、番手を変えながら何度も工程を重ねていきます。

杉無垢フローリング研磨途中の床面。古い塗膜が除去されつつある状態
表面に残っていた古い塗膜や汚れを、段階的に研磨で落としていきます。
一気に削らず、木の状態を見ながら慎重に進めることが重要です。

この丁寧さが、研磨後の仕上がりを大きく左右します。

研磨途中で見えてくる判断材料

研磨を進めていくと、途中段階で木の状態がはっきりと見えてきます。シミがどこまで入り込んでいるのか、割れや欠けが進行していないか、補修が必要な箇所はどこか。この時点で、最終的にどこまで再生できるかの判断がほぼ固まります。

杉無垢フローリング研磨途中の全体写真。部屋全体で明るさの差が出ている
部屋全体で見ると、研磨の進行状況がよく分かります。
まだ研磨が終わっていない部分とのコントラストが、再生の途中段階を物語っています。

表面だけの汚れであれば、研磨によって驚くほど明るさが戻ることもあります。
逆に、深いダメージがある場合は、再生後の使い方や仕上げ方法を調整する必要が出てきます。

研磨後の杉無垢フローリングの表情

本来の色味と木目が戻る

研磨が終わった直後の杉の無垢フローリングは、とても素直な表情をしています。

研磨後の杉無垢フローリング。表面が均一になり、木目がはっきりと現れている
研磨が完了した状態です。黒ずみや汚れがなくなり、杉の木目が素直に現れています。
この段階で、ようやく仕上げ塗装に進む準備が整います。

黒ずみが消え、淡い色味とやわらかな木目がはっきりと現れます。この状態を見ると、張り替えなくて良かったと感じる方が多いです。
無垢フローリングは、表面をリセットできるという点が大きな強みです。合板フローリングでは得られない価値が、ここにあります。

研磨後すぐに完成ではない理由

ただし、研磨が終わった時点では、床はまだ未完成です。

研磨後の杉無垢フローリングを別角度から撮影。自然光が当たる床面
自然光が入ることで、研磨後の杉の表情がより分かりやすくなります。
表面がフラットになり、素地として非常に良い状態です。

研磨直後の木は無防備な状態であり、そのまま使うとすぐに汚れが入り込んでしまいます。ここからどの塗料で仕上げるかによって、今後のメンテナンス性や風合いが大きく変わります。
研磨と仕上げは、必ずセットで考える必要があります。

自然塗料で仕上げるという選択

杉との相性を考えた塗料選び

杉は柔らかく、吸い込みの良い木です。そのため、塗料の選び方を間違えると、ムラが出たり、質感が失われたりします。今回のような再生では、木の呼吸を妨げず、触ったときのやさしさを残せる自然塗料が向いています。

杉無垢フローリングの仕上げに使用する自然塗料「春風」
今回の仕上げには、自然塗料「春風」を使用します。
木の質感を損なわず、杉の柔らかい表情を活かせる塗料です。

自然塗料は、傷がついても部分補修がしやすく、長く付き合う床には適した仕上げです。

仕上げで床の印象は大きく変わる

同じ研磨後の床でも、仕上げによって印象は大きく変わります。
白っぽくナチュラルに見せるのか、少し色味を入れて落ち着かせるのか。

杉無垢フローリングに自然塗料 春風を塗装している作業風景
春風を塗装している途中の様子です。塗った直後から色味が入り、木目が立ち上がってくるのが分かります。

どちらが正解ということはなく、暮らし方や好みによって選ぶべきです。
ここで無理に流行を取り入れるより、今後何年も使う床としてどうありたいかを考えることが大切です。

張り替えと研磨再生の判断基準

研磨で対応できるケース

研磨による再生が向いているのは、構造的な問題がなく、表面の劣化が主な原因の場合です。床鳴りが少なく、下地がしっかりしていることも重要な条件になります。

杉無垢フローリング全体に自然塗料 春風を塗装している様子
部屋全体に春風を塗装していく工程です。塗装は仕上げでありながら、無垢フローリングの印象を大きく左右する重要な作業です。

こうした条件が揃っていれば、張り替えよりも負担を抑えながら床を蘇らせることができます。

張り替えを検討した方が良いケース

一方で、床が大きく沈む、下地が傷んでいる、水害によるダメージがある場合は、研磨では対応できません。
この場合は、無理に再生を選ぶより、張り替えを含めた検討が必要になります。
ここを見誤ると、結果的に二度手間になることもあります。

よくある質問

Q
杉の無垢フローリングは何回くらい研磨できますか。
A

一般的な厚みがあれば、状態にもよりますが複数回の研磨が可能です。ただし毎回必要以上に削らないことが重要です。

Q
住みながら研磨作業はできますか。
A

可能なケースもありますが、養生や工程管理が重要になります。生活動線を確保しながら進めるには経験が必要です。

Q
DIYで研磨はできますか。
A

部分的な補修は可能ですが、全面研磨は機材と経験が必要です。失敗すると取り返しがつかないため注意が必要です。

本当に自分に合った選択をするために

杉の無垢フローリングは「汚れたら終わり」の床ではありません。
ただし、すべてが研磨で解決するわけでもありません。
自分でできる範囲と、プロに委ねた方がいい部分の境界線を見極めることが、後悔しない選択につながります。

張り替えるべきなのか。
研磨で再生できるのか。
今の床とこれからの暮らし方を踏まえたとき、どちらが本当に合っているのか。

その判断を、一度立ち止まって考えてみませんか。

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