
アフリカンブラックウッド
黒に近い紫褐色と、石のような重量感。
音と精度のために選ばれてきた木。
アフリカンブラックウッドは、「狂いのなさ」を信じる人のための木材です。
アフリカンブラックウッドの特徴
アフリカンブラックウッドは、アフリカ東部から南部にかけて自生する広葉樹で、世界で最も比重が高い木材のひとつとして知られています。
乾燥した状態でも非常に重く、水に沈むほどの密度を持つことが最大の特徴です。
成長は極めて遅く、樹径も大きくなりにくいため、木材として利用できるサイズは限られます。
そのため流通量は非常に少なく、一般的な建材や家具材として使われることはほとんどありません。
一方で、寸法安定性と密度が要求される分野では、長い年月にわたり代替のきかない木として使われ続けてきました。
アフリカンブラックウッドは「面積で使う木」ではなく、「性能を一点に集約するための木材」です。
イチイ(櫟/一位)の主な性質
アフリカンブラックウッドは、極めて高い硬度と比重を持ちながら、割れにくく、狂いが出にくいという特性を併せ持っています。繊維は非常に細かく均一で、刃物を入れた際の抵抗は強いものの、削り上がりは滑らかでエッジが明確に立ちます。
木肌はきめ細かく、研磨を進めるほどに金属や石に近い光沢を帯びます。
色味は黒褐色から紫がかった黒色で、経年による変化は比較的少なく、長期間安定した表情を保ちます。
注意点としては、
- 極端に硬く、加工負荷が高い
- 材が小径で、大きな部材が取れない
- 流通量が少なく、価格・供給ともに不安定
これらの理由から、床材や家具材には適しません。
アフリカンブラックウッドは、寸法精度と物性の安定性が最優先される用途でこそ選ばれる木材です。
よくある質問
- Qアフリカンブラックウッドはなぜ床材に使われないのですか?
- A
アフリカンブラックウッドは比重と硬度が極端に高く、加工負荷が非常に大きいため、広い面積を施工する床材には現実的ではありません。また材のサイズが小さく、安定した規格材を確保できない点も理由です。床には適さない一方で、寸法精度を一点で求める用途では代替が効かない性能を持っています。
- Qなぜ楽器に使われることが多いのですか?
- A
高密度で内部構造が均一なため、湿度変化による狂いが少なく、音程や音質が安定します。特に管楽器では、わずかな寸法誤差が音に直結するため、アフリカンブラックウッドの物性が非常に重視されています。
- Q黒檀(エボニー)とは違う木ですか?
- A
一般的に混同されがちですが、アフリカンブラックウッドは厳密にはエボニーとは異なる樹種です。ただし、色味・硬度・用途が近いため、黒檀系素材として扱われることがあります。特性の安定性という点では、より工業的な信頼性を評価されることもあります。
- Q現在も安定して入手できる木材ですか?
- A
いいえ。成長が遅く、伐採制限や資源管理の影響もあり、安定供給は難しい木材です。そのため用途は限定され、必要最小限で使われるケースがほとんどです。
- Q代替になる木材はありますか?
- A
用途によりますが、完全な代替は難しいのが実情です。比重や硬度が近い木材は存在しますが、寸法安定性や内部構造の均一さまで含めると、アフリカンブラックウッドが選ばれ続けている理由が明確になります。
アフリカンブラックウッドのコラム
アフリカンブラックウッドは「たくさん使うこと」を最初から拒否している木です。
重く、硬く、成長は遅い。
加工も簡単ではなく、扱えるサイズも限られる。
それでもこの木が選ばれてきた理由は、一度決めた形が、ほとんど狂わないからです。
音程、寸法、感触。
少しのズレも許されない場所で、この木は黙って役割を果たしてきました。
目立つ場所には使われない。
けれど、失敗できない場所にだけ残る。
アフリカンブラックウッドは、量ではなく、精度で信頼されてきた木材です。