不便を楽しむ里に新しい拠点が生まれた
母屋とは別に「作るための場所」を確保した理由
奈良県御所市で進めている「不便を楽しむ里」プロジェクトに、新たな拠点が加わりました。母屋から徒歩5分ほどの場所に、4tコンテナ、8畳ほどの小屋、そして軽トラック1台。この3つが揃ったことで、これまで曖昧だった「作るための環境」が一気に具体的になりました。
これまでは、母屋を中心に生活と作業を兼ねていましたが、どうしてもスペースや導線に制約がありました。特に木材の保管や加工前の素材管理に関しては、場所が分散してしまい効率が悪かったのが現実です。
今回の拠点は、その課題を解決するためのものですが、単なる効率化ではありません。この場所には「作ることを楽しむための余白」を意図的に残しています。便利さを追求するのではなく、不便さの中で試行錯誤する。そのプロセス自体を価値に変えるための拠点です。
完成された施設ではなく“途中の状態”を公開する意味
一般的な施設であれば、すべて整ってから公開するのが普通です。しかしこのプロジェクトでは、あえて未完成の状態を見せています。理由はシンプルで、その方が面白いからです。
完成された空間は「使う」だけですが、未完成の空間には「関わる余地」があります。この違いは非常に大きく、参加者の意識を“消費者”から“当事者”へと変えます。
この場所は、誰かが用意した完成品ではなく、関わる人によって変化していく場所です。だからこそ、この段階で発信し、共感してくれる人と一緒に作っていきたいと考えています。
コンテナが変えた木材の扱い方
加工前の素材をストックできる意味
4tコンテナは、加工前の木材を保管するために設置しました。無垢材は保管環境によって状態が変わるため、安定したストック環境が必要です。これまではその管理が難しく、都度対応になっていました。
コンテナを導入したことで、木材の保管・仕分け・管理が一箇所で完結します。これは単なる収納ではなく、品質の安定と作業効率の向上に直結します。特にレジンテーブルや無垢材加工においては、素材の状態がそのまま仕上がりに影響するため、この改善は非常に大きな意味を持ちます。
また、素材をストックできることで、参加者が「その場で木を選ぶ」という体験も可能になります。これは既製品にはない価値です。
コンテナは「倉庫」ではなく「スタート地点」
このコンテナは、単なる倉庫ではありません。ここはすべてのモノづくりの“スタート地点”になります。木材がここに集まり、そこから運ばれ、加工され、作品へと変わっていく。その流れの最初の一歩がこの場所です。
つまり、このコンテナは“裏方”ではなく、プロセスの一部です。見えないところではなく、むしろ見せるべき場所。素材がどのように作品になるのか、その物語の起点として機能します。
軽トラックが作るリアルな動線
運ぶという行為が体験になる理由
軽トラックの導入によって、この拠点と母屋、そして現場が繋がりました。これにより、木材を運ぶ、道具を移動する、といった作業が日常的に行えるようになります。
一見すると単なる運搬手段ですが、この「運ぶ」という行為こそが体験になります。都市部では完成されたものが届くのが当たり前ですが、この場所では素材を自分で運び、自分で扱う。その過程に価値があります。
不便ではありますが、その分、モノに対する理解や愛着は圧倒的に深くなります。
作る・運ぶ・戻すという循環が生まれる
この拠点では、
- コンテナから素材を取り出す
- 軽トラで母屋へ運ぶ
- 加工して作品にする
- また戻す
という循環が生まれます。この流れができたことで、「作る場所」としての完成度が一気に高まりました。効率的でありながら、あえて手間を残す。このバランスが、このプロジェクトの本質です。
問題はこの小屋をどう使うか
正直に言うと、まだ何も決まっていない
今回の拠点で一番面白いのが、この小屋です。コンテナや軽トラには明確な役割がありますが、この小屋だけは用途が決まっていません。

普通であれば用途を決めてから整備しますが、今回は逆です。「決まっていない状態」をあえて残しています。それは、この場所を“完成された施設”にしたくないからです。未完成だからこそ、関われる余地があり、参加する意味が生まれます。
どんな使い方にも変化できる余白
この小屋は、使い方次第でいくらでも変わります。
- 木工体験スペース
- コーヒー焙煎室
- ギャラリー
- 宿泊者用の共用スペース
どれも正解であり、どれもまだ未確定です。この自由度こそが最大の価値です。決められた用途ではなく、「どう使うかを考えるところから参加できる」こと。それがこの小屋の存在意義です。
クラウドファンディングは参加型でやる
支援ではなく“関わる仕組み”にする
この「不便を楽しむ里」はクラウドファンディングを予定していますが、単なる資金調達ではありません。目指しているのは、関わる人が増えるほど価値が上がるプロジェクトです。
- 支援者ではなく参加者
- 購入ではなく体験
- 完成ではなくプロセス
この設計にすることで、単なる施設ではなくコミュニティになります。
小屋の用途を一緒に決めるという企画
この小屋は、その象徴的な存在です。クラファンでは、用途アイデアの提案や実際の施工参加、ネーミング権といった形で、関わる余地を作ります。

つまりこの小屋は、「誰かが作った場所」ではなく、「みんなで作った場所」になる予定です。
よくある質問
- Qこの小屋は最終的に何になる予定ですか?
- A
現時点では確定していません。意図的に用途を決めず、クラウドファンディングの参加者や関係者と一緒に用途を決めていく設計にしています。完成された施設ではなく、プロセスに参加できること自体を価値にしているためです。
- Qコンテナは一般的な倉庫と何が違いますか?
- A
単なる保管庫ではなく、モノづくりの起点として位置付けています。素材選びから加工までの流れを一貫して体験できるようにするための設備であり、プロセスの一部として機能します。
- Q参加するにはどうすればいいですか?
- A
今後予定しているクラウドファンディングを通じて参加可能です。支援だけでなく、アイデア提案や施工参加など、関わり方を選べる設計にする予定です。

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