虎斑(とらふ)とは、オーク(ナラ / 楢)やビーチ(ブナ)などブナ科の樹種にみられる独特な杢目で、その名前でも分かる通り虎の縞模様のような柄があります。

まるで肉割れのようで、着色塗装をすると色のノリが悪くはじいてしまい、「塗装ムラがある不良品が入っている!」…とクレームを聞くこともありますが、虎斑は栄養を多く含んだ部分であり、良質なオーク(ナラ / 楢)やビーチ(ブナ)材の証明でもあります。
今回はそんな「虎斑」について詳しく解説したいと思います。
虎斑の成り立ち
木の中には、「道管(どうかん)」や「放射組織(ほうしゃそしき)」という特別な部分があり、これが、木の水分や栄養を運ぶ役割をしています。
この放射組織が光に反射することで、木の表面にピカピカした模様が見え、まるで虎の毛皮みたいなので「虎斑」と呼ばれています。
- 放射組織の役割
放射組織は、木が養分や水分を効率よく運ぶための構造で、オーク(ナラ / 楢)では特に発達しています。これが板目や柾目の製材方法によって切断されると、斑(ふ)が表面に現れます。 - 光の反射
放射組織の細胞は、他の組織と異なる方向に並んでおり、光を反射しやすい特徴を持っています。そのため、見る角度によって光沢感が変化し、模様が浮き立つように見えます。
虎斑の特徴的な美しさ

柾目を横切るような帯状で現れ、光の加減で光沢を放つため、虎斑は欧米では「タイガーストライプ」や「シルバーグレイン(銀杢)」とも呼ばれており、かの有名な建築家フランク・ロイド・ライトもこの虎斑を好んで使用していたそうです。
天然木材であるため、虎斑の出方には個体差があり、濃淡や模様の幅、頻度は一本一本異なり、これが天然木の魅力のひとつで、また紛れもなくオーク(ナラ / 楢)やビーチ(ブナ)の愛すべき個性のひとつです。
虎斑を活かす用途
- 無垢フローリングや建具などの建材
高級感と耐久性を兼ね備え、住宅や商業施設で人気の選択肢です。 - 家具
テーブルやキャビネットなどで、美しい杢目模様がデザインの主役となります。 - 楽器
特にギターやバイオリンの背面板で、視覚的な美しさと音響的な特性が評価されています。
オーク(ナラ / 楢)の虎斑
無垢フローリング、ウッドデッキをはじめ無垢材は様々な杢目や色調、個性豊かな表情が魅力ですので是非お近くの無垢材を注目して面白い表情を探してみては如何でしょう。






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