木材の中には「軽さ」を特徴とするバルサのような樹種がある一方で、極限まで重く硬い木も存在します。
その代表格が リグナムバイタ(Lignum Vitae) です。
ラテン語で「生命の木」を意味するこの木は、圧倒的な密度と耐久性を誇り、古くから特別な用途に利用されてきました。
リグナムバイタとは?
リグナムバイタは、グアヤカム属に分類される常緑広葉樹で、中南米やカリブ海沿岸を原産としています。
比重は1.2〜1.3を超えることもあり、水に沈むほど重い木材です。
硬度・耐久性ともに極めて高く、世界で最も重く硬い木材のひとつとして知られています。
特徴
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極めて高い比重と硬度
木材ながら鉄や石のような重みを持ち、耐摩耗性に優れます。 -
自己潤滑性
天然の樹脂分を多く含み、摩擦に強く滑りやすいため、機械部品にも用いられてきました。 -
耐久性
虫害や腐朽に強く、屋外や過酷な環境でも長寿命を発揮します。 -
独特の色合い
深い緑がかった褐色で、磨くと艶やかな光沢が生まれます。
主な用途
・船舶部品(舵の軸受けなど摩擦部分)
・ハンマーやマレットなどの工具材
・ベアリングや滑車のブッシュ材
・彫刻や工芸品
かつては産業用資材として広く利用されてきましたが、現在はワシントン条約(CITES)により取引が制限されており、希少材となっています。
メリットとデメリット
メリットはその比類なき硬度・耐久性ですが、反面、加工が極めて困難で重量があるため取り扱いには熟練の技術が必要です。
また、流通量が少なく非常に高価であるため、一般住宅の建材として用いられることはほとんどありません。
エコロキアの視点から
リグナムバイタは「極限まで硬い木」として、木材の多様性や奥深さを示す象徴的な存在です。
私たちが普段扱う無垢フローリングやウッドデッキ材とは用途が異なりますが、木材のポテンシャルを理解する上で欠かせない樹種といえるでしょう。