古材が持つ味わい深さ。それは、時の経過と共に刻まれた痕跡そのものです。私たちエコロキアでは、白アリに喰われて穴だらけになった一枚のパイン材に新たな命を吹き込みました。今回は、その再生のプロセスをお伝えします。
【素材の選定】白アリ被害の板こそ、再生に値する
自然の摂理が作り出す「偶然の造形美」
最初に手に取ったのは、白アリによって無数の穴が空いた松の古材。このような板は通常、廃材として処分されることが多いのですが、私たちはあえてこの「穴だらけ」に注目しました。

木の繊維が失われ、ところどころ深く浸食されたその表情は、まるで彫刻作品のよう。一般的なきれいな木材にはない「時間の跡」が、唯一無二の魅力を放っていました。
強度面は?→レジンとの融合で解決
もちろん、そのままではテーブルとしての強度や機能性に難があります。そこで登場するのが「レジン(樹脂)」。この素材は、木材の補強や空洞の充填に非常に相性が良く、仕上がりも美しくなります。
【色味の演出】ワトコオイル「ドリフトウッド」でヴィンテージ感を強調
ドリフトウッド=流木を思わせる深みある色合い
塗装には、ワトコオイルの「ドリフトウッド」を使用しました。この色は、灰がかったブラウン系で、経年変化した流木のような表情を木に与えます。白アリの喰跡と節のコントラストをより一層引き立ててくれるため、今回の作品にぴったりでした。
塗装時の工夫:目止めはしない、あえて「表情」を残す
通常、テーブル製作では表面を均してから塗装しますが、今回はあえて“目止め”を行わず、凹凸を活かしました。その結果、木目と虫食い跡が織りなす自然な凹凸が立体的に浮かび上がり、非常に魅力的な表情となっています。

【仕上げ工程】レジンの塗布と研磨を繰り返して、平滑に仕上げる
一度では終わらない、根気の要る作業
表面の穴をレジンで埋めていく作業は、いわば「埋めては乾かし、また埋めて」の繰り返しです。特に今回は無数の小さな穴や溝があるため、一度の塗布ではすべて埋まりません。

1層目を塗布し、完全に硬化させるまで待ちます。これは最低でも24時間。その後、再びレジンを薄く塗布し、乾燥。これを3〜4回繰り返し、少しずつ面を平らに近づけていきます。
塗装とレジンの組み合わせが生む、深い艶と奥行き
レジンは透明性が高く、下地の木目や色合いをそのまま活かすことができます。今回のように濃色のオイルステインと組み合わせることで、まるで飴細工のような光沢感が生まれました。
特に光が当たると、レジン越しに木の年輪や節、虫喰い跡が見え隠れし、まるで「木の履歴書」を眺めているかのようです。
【完成へ】磨き込みで仕上げる、再生の最終工程
最後はひたすら「磨く」
レジンが完全に硬化し、十分な厚みが出た段階で、最後の工程は「研磨」です。まずは耐水ペーパーの粗め(#400程度)から始め、徐々に細かくしていきます。最終的には#2000〜#3000番台まで使って、つるんとした艶やかな表面に仕上げます。
木の味わいはそのままに、現代的な質感をプラス
この工程を経ることで、古材の持つ素朴な味わいはそのままに、まるでガラスのような表面の滑らかさが加わり、「古さ×新しさ」という二律背反の美しさが完成しました。
【再生テーブルの価値】無駄を愛する心が、家具に命を宿す
捨てるか、活かすかは発想次第
白アリに喰われた板。普通なら廃材として処分されるものを、手間暇をかけて磨き上げる。その過程には、エコロキアが掲げる「不便を楽しむ」哲学が詰まっています。
手間がかかるからこそ、完成した時の達成感はひとしおです。そして、それを使う人の暮らしの中に、「モノを大切にする美意識」が自然と育まれていくと信じています。
エコロキアでは、こうした再生テーブルのご相談も承ります
今回のように、虫喰いや割れ、穴のある古材を活かしたオーダーテーブルや、レジン補修を含むカスタム製作にも対応しています。捨てるには惜しい木材があれば、ぜひご相談ください。

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