無垢フローリングの大きな魅力のひとつが「経年変化」です。
とりわけ針葉樹は、光を浴びるほどに深みを増し、住まいとともに育っていく素材。最初は明るくやわらかな表情ですが、数年で飴色へと変化し、まるで家族の歴史を刻むように美しさを増していきます。
今回は、ヒノキ・スギ・レッドパイン・レッドシダー・ボルドーパイン・ヘムロックなど、針葉樹6種のリアルなビフォーアフターをもとに、専門家の視点から経年変化の特徴を解説します。
針葉樹が経年変化で美しく育つ理由
木材に含まれる成分が紫外線で変化し、深い色味を生み出す仕組み
針葉樹の経年変化は、単なる「日焼け」ではありません。
木材が本来持つ成分が紫外線と反応し、徐々に色味が深まり、味わいが増す自然現象です。特に、ヒノキやスギ、レッドシダーは油分やフェノール成分を多く含んでおり、光を浴びることで分子構造が変化し、より深く温かみのある色へと変わっていきます。これにより、施工直後の明るい色味から、時間を経るごとに柔らかな飴色、赤褐色、さらには深いブラウンへと変化します。
また、針葉樹は広葉樹に比べて導管が少なく、光の反射が均一に起こりやすい特徴があります。そのため、経年変化が均質で美しく、自然素材ならではの豊かな表情が楽しめます。木材は室内環境や光の量によって変化の速度が異なり、窓際と奥のスペースで色味が変わることもありますが、それもまた“暮らしの跡”として味わいとなります。
時間とともに増す温かみが空間の質を高め、長く愛される床材になる
針葉樹の経年変化が好まれる理由は、単に色が変わるだけではありません。
年月を重ねるほどに空間へ馴染み、やさしい光を受けて落ち着いた雰囲気をつくり出すからです。特にヒノキやスギは、白太部分が温かみのあるベージュに変化し、節のコントラストも柔らかくなり、部屋全体の空気が豊かに感じられます。
住み始めた頃よりも“数年後のほうが美しい”と感じるのは、針葉樹ならではの魅力です。
無垢材は新築時が完成形ではなく、“育つ素材”。表面に付いた小さな傷や日焼けの差も、ひとつひとつが味わいとなり、やがて世界にひとつだけの床へと成長していきます。これこそが量産された建材では味わえない本物の価値であり、針葉樹が長く愛され続ける理由です。
ヒノキの経年変化|白く澄んだ木肌から、上品な飴色への変化
施工直後のヒノキは白く清らかな色合い。和の空間にも洋の空間にも合う万能材
ヒノキの施工直後は、白く明るい木肌とほのかな香りが特徴です。日本では古くから寺社仏閣にも用いられるほど耐久性が高く、湿度変化にも強い素材として知られています。初期状態のヒノキは光沢があり、空間を清らかに見せる効果があり、和室・洋室を問わずインテリアと相性が良い点も魅力です。
数年で柔らかく深い飴色へ。節のコントラストが美しく育つ

ヒノキは光を浴びるほどに飴色へと変化し、時間を経るごとに落ち着いた高級感が増します。変化後は節の部分がより立体的に見え、木目の動きが際立つため、味わい深い印象に育ちます。また、表面の油分が馴染むことで艶が増し、上品な質感に変わっていきます。
スギの経年変化|柔らかな色合いから温かい赤みへ
施工直後は淡いトーンで軽やかな雰囲気に
スギは針葉樹の中でも特に軽く柔らかい素材で、施工直後は淡くやさしい色合いをしています。節の形が独特で、細い木目と相まって、空間に軽やかな印象を与えます。リラックス感のあるナチュラルインテリアや、北欧系のシンプルな部屋に非常によく合う素材です。
時間とともに赤褐色へ。個性的な節がより美しく浮かび上がる

スギは紫外線に強く反応しやすく、経年で赤みが増しやすい樹種です。節や木目のコントラストが強まり、自然素材らしい豊かな表情が出るため、“住まいの経年変化を楽しみたい方”に特に人気があります。また、年月が経つほどに深く温かみのある赤褐色へと変わり、空間になじむ落ち着いた雰囲気へと育ちます。
レッドパインの経年変化|明るさと素朴な風合いがより深まる
施工直後はナチュラルで柔らかな木目が魅力
レッドパインは節が多く、木目が賑やかで表情豊かな素材です。施工直後は明るくナチュラルな色合いで、可愛らしい雰囲気の部屋づくりにぴったりです。北欧テイストやカジュアルインテリアと相性がよく、素朴さを大切にしたい住まいに向いています。
飴色に変化し、節の輪郭が引き締まることで重厚感が増す

経年によってレッドパインは黄味のある飴色へ変化し、節がよりくっきりと見えるようになり、木目の立体感が際立ちます。施工直後の可愛らしさから、時間とともに“落ち着いたナチュラル感”へ育っていき、部屋全体が柔らかい雰囲気に包まれます。
レッドシダーの経年変化|香り高く、深いブラウンへと育つ個性派
施工直後はライトブラウンで心地よい木の香りが特徴
レッドシダーは針葉樹の中でも独特の香りと色味を持つ素材です。施工直後はライトブラウンで、節の形状も個性的。ログハウスやヴィンテージ調のインテリアにもよく合う素材で、空間を柔らかく包み込む雰囲気を演出します。
濃いブラウンへと深まり、重厚感のある美しさに変化していく

経年変化ではレッドシダーの色味がぐっと深まり、味わい深いブラウンへ育ちます。同じ針葉樹でもスギとは異なり、赤みよりも深い色へ変化するため、落ち着いた雰囲気の空間を好む方に人気です。光の当たり方で見え方が大きく変わるのも特徴です。
ボルドーパインの経年変化|赤みが深まり、存在感のある床へ育つ素材
施工直後は明るく柔らかなピンクベージュ。節の表情が豊かで温かい雰囲気に
ボルドーパインは、針葉樹の中でも特に柔らかな雰囲気を持つ素材です。施工直後はピンクベージュのような明るい色味で、空間に優しい光を取り込むような印象を与えます。節が多く動きのある木目が特徴で、自然素材ならではの“あたたかさ”を感じられる樹種です。北欧テイストや素朴なナチュラルインテリアとの相性が良く、可愛らしくカジュアルな雰囲気に仕上がるため、若い世代にも人気があります。
経年で赤みが濃くなり、節の輪郭が引き締まり重厚感が増す。素朴さが“味わい”へと変化する

時間の経過とともにボルドーパインは色味が深まり、赤褐色へと変化していきます。紫外線と空気に触れることで木材内部の成分が反応し、徐々に深い色へと育つため、施工直後の可愛らしい印象から、年数を重ねると“味わい深いナチュラル感”へと変化していきます。節の輪郭もよりはっきりとし、木目のコントラストが際立つことで床全体に立体感が生まれます。
ヘムロックの経年変化|均一な木目と穏やかな色変化を楽しめる静かな素材
施工直後は明るく上品な木肌。クセのない木目でどんな空間にも馴染む
ヘムロックは針葉樹の中でも特に均一な木目を持つ素材で、施工直後は明るく清潔感のある木肌が特徴です。節が比較的少なく、スッと伸びる繊細な木目が空間を上品に見せてくれるため、和風・洋風のどちらにも馴染む柔軟性があります。他の針葉樹と比べて主張が控えめで、素材の個性よりも“空間の雰囲気づくり”に寄り添うタイプの木材です。
経年で落ち着いたベージュへ変化。ゆるやかな色の深まりで長く使いやすい

ヘムロックの経年変化は、針葉樹の中でも比較的ゆるやかです。施工直後の明るい木肌は、時間の経過とともに柔らかいベージュへと深まり、派手ではないものの落ち着いた雰囲気へ育ちます。他の針葉樹のように急激に赤みが増したり、濃いブラウンへ変わることは少なく、穏やかな変化が特徴です。そのため、経年変化によって印象が大きく変わるのが苦手な方や、長期間にわたって一定のトーンで使いたい方に非常に向いています。
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