無垢フローリングに起きる「水染み問題」とは
無垢フローリングは、天然木ならではの温かみや風合いが魅力で、住宅の床材として長く愛されてきました。その一方で「天然木だからこそ起きるトラブル」もあります。
その代表例のひとつが 水染み です。特にチェスナット(栗)のようにタンニン成分を多く含む樹種では、酸や水分の影響を強く受けやすく、汗や飲み物、雨水などが原因でシミが浮かび上がることがあります。
今回ご紹介するのは、3年前に納品させていただいた チェスナット(栗)ユニ無垢フローリング の施工事例です。お客様から「水染みが気になるので補修したい」とご相談を受け、サンディングによる補修と、水性ウレタン塗装による仕上げを行いました。
チェスナット(栗)フローリングの特徴とエイジング加工
アルカリ処理による自然なエイジング
今回のお住まいで使用されているチェスナット無垢フローリングは、特殊な「アルカリ処理」を施したものです。アルカリによってタンニンの変化を促し、あえて色味を濃くすることで「経年変化したような風合い」を人工的に再現しています。
これは単なる着色塗装とは異なり、天然木が時間をかけて深みを増していくような自然な美しさを生み出すことができる加工方法です。
古民家リフォームに最適
このエイジング加工の最大のメリットは、「新しい無垢材を張り替えても古い家の雰囲気に馴染む」点にあります。古民家の改築や、ヴィンテージ感を大切にするリフォームには非常に相性が良く、違和感なく空間に溶け込みます。
表面は自然塗料(透明つや消しオイル仕上げ)でしたので、先ず補修は水染みをサンディングで目立たないようにしていきます。
水染みが発生する原因
酸性物質による中和反応

ここから研磨と再塗装で美しさを取り戻します。
ただし、このアルカリ処理にはデメリットもあります。酸性のものが床に落ちると、アルカリとの中和反応で色素が変化し、シミとして浮かび上がってしまうのです。
原因としては以下が考えられます。
- 夏場の汗
- 雨水の持ち込み
- 飲み物のこぼれ
- ペットの粗相
今回も、こうした日常の中で起きる「酸と水分の影響」によって、点々と水染みが生じていました。
水染み補修の手順
1. サンディングで表面を整える

まずは水染み部分をサンダーで研磨していきます。サンディングを行うことで、表面の変色を削り取り、目立ちにくくします。

写真にあるように、電動サンダーを使い、水染みを丁寧に研磨。広いリビングでも均一な仕上がりになるよう注意を払いながら進めます。
2. サンディングシーラーで目止め
ある程度水染みが目立たなくなった段階で、次にサンディングシーラーを塗布します。これは表面の導管を埋めて仕上げ塗料の吸い込みを抑える役割を持ち、後の塗装を均一に仕上げるために欠かせない工程です。

水性ウレタン塗装で自然な風合いをキープ
「ウレタン=テカテカ」ではない
一般的に「ウレタン塗装」と聞くと、ツルツル・テカテカの光沢をイメージされる方が多いかもしれません。しかし、今回使用したのは キャピタルペイント社のフレッシュアクアF(全艶消し) という水性ウレタン塗料です。
この塗料は速乾性が高く、嫌な臭いもなく、つや消し仕上げで自然な風合いを損ないません。

落ち着いた風合いがリビングをより心地よい空間にしています。
自然塗料との違い
当店にご相談に来られるお客様の多くは「自然塗料仕上げ」を希望されます。植物由来のオイルやワックスは確かに環境にも優しく、木の質感をダイレクトに味わえる魅力があります。
ただし、今回のように「水染みを抑えたい」「耐水性を高めたい」という目的では、水性ウレタン塗料の方が適しています。自然塗料と水性ウレタン、それぞれのメリットを理解した上で使い分けることが重要です。
補修後の仕上がりと効果
見た目の美しさ
仕上がりをご覧いただければ一目瞭然。サンディングによって水染みは目立たなくなり、水性ウレタン塗装によって落ち着いた艶感がプラスされました。自然な木目が際立ち、リビング全体が明るく清潔感のある印象に生まれ変わりました。
機能性の向上
さらに、水性ウレタンによる表面保護効果で耐水性が大幅に向上。今後は汗や水滴によるシミのリスクが減り、安心して日常生活を送ることができます。
無垢フローリング補修のポイントまとめ
- チェスナット(栗)のようにタンニンを多く含む無垢材は水染みに注意
- アルカリ処理によるエイジング加工は古民家リフォームに最適
- 酸性の液体でシミが出るため、サンディング+水性ウレタン塗装で対策
- 水性ウレタン塗装は自然な風合いを守りながら耐水性を高められる
これから無垢フローリングを選ぶ方へ
無垢フローリングは「張って終わり」ではなく、手をかけて育てるからこそ味わい深くなります。自然塗料も素晴らしい選択肢ですが、用途や住まいの環境によっては水性ウレタン塗料の方が適している場合もあります。
大切なのは「適材適所」で塗料を選ぶこと。そうすることで、無垢材の魅力を最大限に引き出し、長く快適に暮らすことができます。

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