音楽ホールはなぜ木造が多い?
音楽ホールに木が使われる理由とは?
私たちが音楽を聴く空間、いわゆる「音楽ホール」や「コンサートホール」と呼ばれる建物には、よく見ると多くの“木”が使われています。ステージの床、壁のパネル、客席の天井や壁など、木材がふんだんに使われていることに気づいた方も多いのではないでしょうか。
ではなぜ、音楽ホールには木材が多く使われるのでしょうか?
そこには「音」と「木」の間にある、深い関係が存在しているのです。
木材は「音を整える」天然の調音材
反射と吸収のバランスが絶妙
木材は、音を“反射”しつつも、“吸収”もしてくれるという特性を持っています。これは人工素材にはなかなか真似できない、木ならではの絶妙なバランスです。

たとえば、コンクリートのような硬くて反射率の高い素材では、音が跳ね返りすぎてしまい、音が混ざって聞き取りにくくなる「残響過多」の状態になります。逆に、吸音性の高い素材ばかり使うと、音が響かず、乾いたような印象になってしまいます。
その点、木材は適度に音を反射させながら、余計な音をやさしく吸収し、まろやかな響きを作り出してくれるのです。
木は「共鳴」する素材でもある
楽器に木が多い理由と共通している
木材には「共鳴」する特性があります。
楽器に木が多く使われているのも、実はこれが理由です。
たとえば、バイオリン、ギター、ピアノ、ウッドベース──これらはすべて、木の持つ“響き”の良さを活かした楽器です。

この共鳴性は、ホールの壁や天井、床に木を使う場合にも発揮されます。
ホールそのものが“共鳴する器”のような役割を果たしてくれるのです。
聴衆にとって「耳あたりの良い音」を届ける
高音を抑え、低音に温かみを加える
木材は、ただ音を反射するだけでなく、聴き手にとって心地よい音の広がりをつくり出します。
高音がキツくなりすぎず、低音にはほんのりと温かみが加わる。
そんな“耳あたりの良さ”が、木材の持つ魅力です。
どの席でも音が自然に響く
木の表面の凹凸や繊維構造は、音を一方向に偏らせることなく、空間全体に自然と広げてくれます。そのため、どの席に座っていてもバランスよく音楽を楽しむことができるのです。
音楽家にとっても「演奏しやすい空間」になる
自分の音が返ってくる環境
演奏者は、音の響きや残響の“返り”を感じながら演奏します。
木材で構成されたホールは、演奏者の音が適度に返ってくる「フィードバックの良い空間」を作ってくれます。
結果として、演奏表現がより繊細になり、聴衆にとってもより豊かな音楽体験が提供されるのです。
視覚的にも「落ち着き」と「温かみ」を与える
木がもたらす安心感
木材は視覚的にも大きな役割を果たしています。木の色味や木目の自然な模様、温かみのある質感は、空間に安心感と落ち着きを与えます。
コンサートホールに足を踏み入れた瞬間に感じる「静けさ」や「厳かさ」は、こうした木の効果によるところも大きいのです。
木材の種類によって音も変わる?
音の個性は木の個性
使われる木の種類によって、音の響きも変化します。
- スプルース(針葉樹):音の通りがよく、明るい響き
- マホガニー(広葉樹):まろやかで深みのある音
ホールの設計には、それぞれの木材の特性が計算されて活かされています。木材選びもまた、音楽空間の品質を左右する重要な要素なのです。
まとめ|木と音楽は、切っても切れない関係にある
音楽ホールに木が多く使われているのは、単なる意匠や伝統ではありません。
木材は、「音を整える」「響きを豊かにする」「聴衆と演奏者に心地よい空間を与える」といった、音楽の本質に関わる性能を持った素材なのです。
そしてこの特性は、長い年月をかけて自然が育んできた“天然素材”であるがゆえに持ち合わせている、まさに「木の恵み」といえるでしょう。
もし今後、コンサートホールや音楽イベントに訪れる機会があれば、ぜひ「木の使われ方」や「音の響き方」にも注目してみてください。
木と音楽の深いつながりが、きっと新しい気づきを与えてくれるはずです。
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