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無垢カウンターは張り替えなくていい|ヒノキのカウンターを研磨再生する「ムクリペ」という選択

ヒノキカウンターの研磨途中。研磨前と研磨後の境目がはっきりと分かる状態 コラム
まだ研磨していない部分と、すでに手を入れた部分。 同じヒノキでも、手をかけるだけでここまで表情が変わります。

無垢材のカウンターが傷んできたとき、多くの人は「張り替え」や「交換」を思い浮かべます。
しかし、無垢材である以上、その選択は必ずしも正解ではありません。

今回、某ホテルのレストランで行ったのは、ヒノキの無垢カウンターを張り替えずに再生する研磨作業です。
長年の使用で付いた傷や白化を取り除き、木が本来持っている表情をもう一度引き出す。
それが、エコロキアが行う「ムクリペ」という仕事です。

無垢カウンターの「補修」とは何か

補修=部分的に直すことではない

無垢カウンターの補修というと「傷を埋める」「欠けた部分を直す」といった部分補修を想像されがちです。

しかし実際には無垢材は部分だけをきれいにすると、かえって全体のバランスが崩れます。色ムラ、艶ムラ、手触りの違いが目立ち、結果として「直した感」が残ってしまいます。

ムクリペではカウンター全体を一つの面として捉え、必要な範囲を均一に整えるという考え方を採っています。

無垢材は「削れる」ことが最大の価値

無垢材の最大の特徴は、表面を削って再生できることです。
これは突板やメラミン、化粧板にはない性質です。

ヒノキのカウンターをムクリペで研磨中。長年の使用による細かな傷や白化した表面が見える状態
長年使われてきたヒノキのカウンター。
細かな傷や白化が積み重なっていますが、これは「張り替え」ではなく「再生」で対応できます。

今回のヒノキのカウンターも表面はかなり傷んでいましたが、構造的には何の問題もありませんでした。
この状態で張り替えるのは、素材としては「もったいない」判断です。

カウンター研磨と張り替えの違い

張り替えは「リセット」、研磨は「更新」

カウンターを張り替えるという選択は、空間を一度まっさらに戻す行為です。
傷や汚れ、経年の痕跡をすべて取り除き、新しい素材に置き換えることで、見た目は確かに一新されます。ただし同時に、そこに積み重なってきた時間や使われ方の記憶も、すべて消えてしまいます。

一方で研磨は、使われてきた時間を引き継ぎながら、次の時間へと更新する方法です。
ヒノキのカウンターには、その店の空気や人の動き、毎日の営みが少しずつ刻み込まれています。研磨はそれを否定する作業ではありません。不要なダメージだけを取り除き、素材としての状態を整え直すことで、これからも使い続けられる姿へ導く行為です。

コストと工期の現実的な差

実務の現場では、コストと工期は避けて通れない判断材料になります。
張り替えの場合、既存カウンターの解体から始まり、新たな材料の手配、製作、再設置といった工程が必要になります。その分、工期は長くなり、費用も大きくなりがちです。特に営業を止めにくいホテルやレストランでは、この「止まる時間」自体が大きな負担になります。

研磨による再生は、今あるカウンターを活かしたまま行える作業です。
現地で対応できるケースも多く、大がかりな工事を伴いません。今回の現場でも、営業を完全に止める期間を最小限に抑えながら施工を進めることができました。結果として、工期も短く、現実的なコストに収まっています。

ヒノキカウンター研磨の判断基準

研磨できるケース

研磨再生が有効かどうかは、見た目だけで判断できるものではありません。
大切なのは、そのカウンターが無垢材であること、そして素材としてまだ十分な余力を残しているかどうかです。

今回のヒノキカウンターは、表面には傷や白化、汚れが見られましたが、構造的な割れはなく、厚みも十分に残っていました。劣化の原因はあくまで表面の使い込みによるもので、木そのものの力は健全な状態です。このようなケースでは、研磨によって機能面・意匠面ともに回復が見込めます。

研磨を勧めないケース

一方で、すべてのカウンターに研磨が適しているわけではありません。
無垢に見えても実際には突板であったり、過去に何度も研磨されてすでに厚みが残っていない場合もあります。また、深刻な割れや腐朽が進行している状態では、表面を整えても安全性や耐久性の問題が残ります。

ムクリペでは、こうした場合に無理に研磨を勧めることはありません。
できないものはできないとお伝えし、必要であれば別の選択肢をご提案します。研磨は万能な方法ではなく、適切な条件があってこそ成立する再生手法です。

実例|ホテルレストランのヒノキカウンター研磨

研磨前の状態

このホテルレストランのヒノキカウンターは、長年の営業の中で少しずつ疲れが蓄積していました。
細かな引っかき傷が全体に入り、手垢や水分の影響で表面は白くくすみ、場所によって色ムラも目立つ状態でした。

ムクリペ研磨途中のヒノキカウンター。削り進めることで木本来の色味が現れてきている
研磨を進めると、少しずつヒノキ本来の色と木目が戻ってきます。
この瞬間が、ムクリペの仕事のいちばん気持ちいいところです。

ただし、ヒノキ自体はしっかりとした強さを保っており、芯まで傷んでいる印象はありませんでした。
「使い切られている」のではなく、「使われ続けてきた」状態だと判断できました。

研磨後に起きた変化

研磨を進めていくと、まず木目の輪郭がはっきりと現れてきました。
表面のくすみが取れるにつれ、ヒノキ特有のやわらかな色味が戻り、触れたときの手触りも均一に整っていきます。

研磨仕上げ後のヒノキカウンター。木目がはっきりと浮かび、自然な艶が出ている
新品に戻すのではなく、「使われてきた時間ごと整える」
それがムクリペの考える再生です。

ここで目指したのは、新品のように見せることではありません。
長年使われてきたカウンターが、今の時間にふさわしい状態に「整う」ことです。研磨後の姿は、過去を消したものではなく、これからの使用に耐えうる表情を持ったものになりました。

ムクリペという仕事の立ち位置

きれいにすることが目的ではない

ムクリペは、単に表面をきれいにする仕事ではありません。
どこまで削るのか、どこをあえて残すのか、そしてどんな表情を活かすのかを判断する仕事です。

ムクリペで研磨再生したヒノキのレストランカウンター全景。木目が均一に整っている
張り替えず、削りすぎず。
必要な分だけ研磨することで、ヒノキのカウンターは美しくよみがえります。

削れば削るほど良いわけではなく、削らない判断が必要になる場面もあります。
その見極めがあるからこそ、研磨という作業に興味を持ち、実際にやってみたいと感じる人が多いのかもしれません。

DIYで真似しない方がいい理由

研磨は一見すると単純な作業に見えますが、実際には失敗しやすい工程でもあります。
削りすぎによる厚み不足や、研磨ムラ、仕上げ不良は、取り返しがつかない結果を招くこともあります。

特に業務用カウンターでは、見た目の美しさだけでなく、耐久性や安全性も求められます。
「使い続けられる強度」と「整った表情」を両立させるには、経験に基づいた判断が欠かせません。

無垢カウンターは育てるもの

無垢のカウンターは、傷んだら終わりではありません。
張り替える、上から貼るといった方法を選ぶ前に、研磨によって再生できるかどうかを考える価値があります。

ヒノキのカウンターは、手をかけることで何度でも応えてくれる素材です。
適切に整えながら使い続けることで、時間とともに深みを増していきます。

張り替える前に、一度ご相談ください

無垢のカウンターは、傷が付いたからといって、すぐに役目を終えるものではありません。
張り替える前に、一度「整えて使い続ける」という選択肢があることを知ってほしいと思っています。

ムクリペでは、研磨ができるかどうかだけでなく、やるべきか、やらない方がいいかまで含めて判断します。
無理に削ることも、無理に勧めることもありません。素材の状態と、これからの使われ方を見たうえで、正直にお伝えします。

今あるカウンターを活かせる可能性があるなら、それを一緒に考えてみませんか。
張り替えを決めるのは、そのあとでも遅くありません。

よくある質問

Q
無垢カウンターなら必ず研磨できますか?
A

無垢であっても、厚みや状態によっては研磨できない場合があります。構造や過去の施工履歴を確認する必要があります。

Q
研磨するとカウンターは薄くなりますか?
A

必要最小限の研磨に留めますが、わずかに厚みは減ります。その分、表面は均一に整います。

Q
営業しながら施工できますか?
A

現場条件によりますが、短期間での施工や夜間対応が可能なケースもあります。

Q
ヒノキ以外の樹種も対応できますか?
A

はい。スギ、ナラ、クスなど、無垢材であれば対応可能です。

Q
塗装まで含まれますか?
A

状態と用途に応じて、オイル仕上げやウレタン塗装、レジン仕上げも行います。

Q
どれくらいの頻度で研磨できますか?
A

使用状況にもよりますが、10年以上間隔が空くケースが多いです。

Q
部分的な研磨はできますか?
A

原則おすすめしていません。全体のバランスが崩れるためです。

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