氷河期や人口増加によって食糧難が訪れるといわれる近未来…
私たちは食料の選択肢を大きく広げる必要があります。
コオロギを食用に…といわれておりますがさすがにそれは勘弁してほしいです。
そんな中で「木を食べる」というアイデアは一見すると突飛なもののようですが、自然界には木を主食にする生物も存在します。
では、人間が木を食べる日は来るのでしょうか?
今回のうんちくでは、木が食用に向かない理由や可能性について考えてみたいと思います。
木を食べるには
木はそもそも何でできているのか?
木の主成分はセルロース、ヘミセルロース、リグニンです。
- セルロース
- セルロースとは植物細胞の主要な構成要素であり、長いグルコース分子が鎖状につながった構造を持っています。セルロース自体はエネルギー源として優れていますが、残念ながら人間にはこれを分解する酵素がありません。
- ヘミセルロース
- ヘミセルロースはセルロースと同様に植物細胞壁の一部ですが、構造がやや異なり、セルロースよりも消化しやすいものの、これでもまだ人間の消化能力では充分に分解できません。
- リグニン
- リグニンは木材を硬くし、防水性を与える物質です。これもまた、非常に分解が難しく、エネルギー源として利用することは困難です。
木を食べる生物との比較
自然界には木を食べる生物も存在します。
たとえば、シロアリやカブトムシの幼虫などです。これらの生物は、木材を消化する特定の酵素や微生物を持っています。
特にシロアリは腸内に共生する微生物の助けを借りてセルロースを分解し、エネルギーを得ています。
一方で、人間はこれらの微生物を持たないため、木材を食べても栄養を吸収することができません。
また、木材の硬さや消化の困難さも大きなハードルです。
木を食べるための技術的な挑戦
科学技術の進歩により、木材を食料として利用する可能性が全くないわけではありません。
- セルロース分解技術の開発
セルロースを糖に分解する技術はバイオ燃料産業で既に研究が進んでいます。同じ技術を食品産業に応用することで、木材から栄養価のある物質を取り出すことが可能になるかもしれません。 - リグニンの除去
リグニンを取り除くことで、木材をより柔らかくし、加工しやすくする技術が求められます。 - 発酵や加工技術の応用
木材を微生物で発酵させることで、消化しやすい形態に変える試みも考えられます。たとえば、木を原料としたプロテインバーやサプリメントが開発されるかもしれません。

木の一部で食べられるもの
木の幹や枝は食べられないものの「木」を構成しているのはそれだけではありません。木の一部で食べられるものをご紹介致します。
樹液
- メープルシロップ
樹液の由来: サトウカエデ(カナダやアメリカの北東部に生育)。
特徴: サトウカエデの樹液を煮詰めて作られる天然甘味料。パンケーキやデザートに使われる定番の食品。 - バーチシロップ(白樺シロップ)
樹液の由来: 白樺(ヨーロッパや北アメリカ、ロシアなどの寒冷地に生育)。
特徴: サトウカエデのメープルシロップに比べて収量が少なく、風味も独特で希少性が高い。 - ココナッツの樹液
樹液の由来: ココヤシ(熱帯地域で広く栽培)。
特徴: 樹液を発酵させて作られる「ココナッツシュガー」や「ココナッツネクター」として甘味料に使用される。また、飲料としても楽しまれる。 - ナツメヤシの樹液
樹液の由来: ナツメヤシ(中東や北アフリカで一般的)。
特徴: 樹液を発酵させて飲料(伝統的な酒類やジュース)として利用されることが多い。 - ゴムの樹液(ヤシ酒の原料)
樹液の由来: パームツリーやゴムノキなど。
特徴: 発酵させてアルコール飲料「トディ(Toddy)」や「パームワイン」を作るために利用されることが多い。
芽や若葉
- タラの芽(タラノキ)
生息地: 日本や東アジアに広く分布。
特徴: 春の山菜として親しまれ、天ぷらやお浸しにすると美味しい。ほろ苦さと香りが特徴。 - ウド(独活)
生息地: 山地や里山など。
特徴: 新芽や若い葉は天ぷらや和え物、煮物に利用される。香りがよく、ほのかな苦味がある。 - コシアブラ(漉油)
生息地: 日本の山間部。
特徴: 春の山菜の王様と呼ばれ、新芽は天ぷらや炒め物、味噌和えなどに使われる。香りと旨味が豊か。 - ヨモギ(蓬)
生息地: 日本各地で野生、庭先でも育つ。
特徴: 若葉を摘んで草餅やお茶にする。独特の香りとほろ苦さが魅力。 - クワ(桑)
生息地: 日本、中国、韓国など。
特徴: 若葉は天ぷらやお浸しにできる。乾燥させてお茶としても飲まれる。
内樹皮
- シラカバ(白樺)
生息地: 北半球の寒冷地。
特徴: 内樹皮を乾燥させて粉にし、パンや粥の材料として使用されることがある。ほんのり甘い味わい。 - アカマツ(赤松)
生息地: 日本を含むアジア地域。
特徴: 内樹皮を乾燥させ、粉末状にして食用とする。栄養価が高く、飢餓時の食料として利用された歴史がある。 - エゾマツ(蝦夷松)
生息地: 北海道や寒冷地。
特徴: 内樹皮を調理して食べることが可能。乾燥させたものを粉状にしてパンや粥に混ぜる。 - シナモン(ニッケイ)
生息地: 熱帯アジア地域を中心に分布。
特徴: 樹皮を乾燥させ、スパイスとして利用。独特の甘い香りがあり、料理や菓子、飲料に幅広く使用される。 - ヤナギ(柳)
生息地: 世界中の温帯地域。
特徴: 内樹皮は食用として利用されることがあり、乾燥させて粉にして調理する。苦味があるため、他の材料と混ぜることが多い。
果実や種
- クルミ(胡桃)
生息地: 温帯地域、特に北半球。
特徴: 栄養価が高く、豊富な脂肪分とタンパク質を含む。生でも加熱しても美味しい。 - クリ(栗)
生息地: 日本、ヨーロッパ、中国。
特徴: 甘くホクホクとした食感で、そのまま焼いたり茹でたり、または加工してスイーツにも利用。 - アーモンド
生息地: 地中海沿岸、カリフォルニア。
特徴: ナッツとして生食やローストして食べられるほか、ミルクやペーストとしても利用。 - カカオ
生息地: 熱帯地方、特に中南米とアフリカ。
特徴: 種子はチョコレートの原料として知られ、発酵・乾燥・焙煎して使用される。 - サクランボ(桜桃)
生息地: 温帯地域、特に北半球。
特徴: 甘酸っぱい果実として生食のほか、ジャムやリキュールにも加工される。
結論:木を食べる日は来るのか?
現時点では、人間が直接木を食べることは技術的には難しいようですが、食糧危機の解決策のひとつとして、木材を原料とする食品が開発される可能性は充分にあります。
特に内樹皮は飢餓食として実際に用いられていたようですし今の技術でそれをもっと効率的に美味しくいただける方法が…

未来には、木材を発酵や加工技術で消化可能な形に変えた「木材由来食品」が登場し、私たちの食卓を彩るかもしれません。それまでの間、木材は私たちの生活を支える無垢フローリングなどの建材や燃料としての役割を担い続けることでしょう。
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