天然木との出会いは一期一会
木材との出会いは、人との出会いと同じように「縁」であると僕は常々思っています。今日もまた、そのことを実感する出来事がありました。
本日は奈良県内の銘木屋さんへ仕入れに足を運んだのですが、実はもうアトリエには木材を置く場所がない状態。それでも現地に足を運ぶと、やはり財布の紐が緩んでしまうのが木材好きの性分です。
本来なら花梨の瘤杢や神代杉など、希少で魅力的な素材に惹かれてしまうところでしたが、今回はぐっと我慢。しかし、どうしても手放せなかった一枚の板がありました。それが写真のヒノキの一枚板です。
植林材ではなく「天然もの」のヒノキ
奈良といえば吉野檜をはじめ、全国的に名の知れた産地でもあります。しかし今回出会ったこの板は、一般的な植林材ではなく天然木。自然に育ったヒノキは、人工的に植えられたものとはまた違う生命力を感じさせます。木目の流れも一本筋が通っていながら、どこか荒々しさを残しており、まさに自然が描き出した模様といえます。
私が木材を選ぶ際には「綺麗さ」だけでなく「ストーリー」を重視します。その木がどんな環境で育ち、どんな歴史を刻んできたのか。そうした背景を持った材に出会うと、ものづくりの意欲が一気に高まります。今回のヒノキも、まさにその典型でした。
雷が落ちてできた割れ
写真をご覧いただければ一目瞭然ですが、この板には真ん中に大きな割れが走っています。通常なら「欠点」として扱われ、家具材としては敬遠されるかもしれません。ですが、銘木屋さんの話によると、これは 雷が落ちてできた割れ なのだそうです。

自然の力が刻み込んだ痕跡。人工的には絶対に生み出せない、唯一無二の模様です。木材好きとしては、この「ストーリー」がたまらなく魅力的に映ります。割れ目はただの欠陥ではなく、大自然と木が織りなしたドラマそのもの。これをどう生かすかを考えることこそ、クリエイターとしての楽しみです。
レジンで「雷の光」を再現する
この割れを見た瞬間に、僕はすぐにアイデアが浮かびました。
「ここにイエローのレジンを流し込んだらどうだろう?」
稲妻が走る瞬間を思わせるような、鮮烈な黄色のレジン。まるで雷が木の中に封じ込められたかのような表現になるのではないかと想像しています。透明度の高いレジンに少しだけパールやメタリックの粉を混ぜれば、光の加減で雷光が揺らめくような効果も演出できるでしょう。
ただ割れを埋めるだけでなく、「雷が走ったヒノキ」という物語をさらに際立たせる。そんな作品に仕上げられたら、きっと唯一無二のレジンテーブルになると確信しています。
木材選びは「ストーリー選び」
世の中には真っ直ぐで節も割れもない綺麗な木材がたくさんあります。それはそれで美しいのですが、私が惹かれるのは「少しクセのある材」。割れや節、虫食いやシミでさえ、工夫次第で作品の魅力に変わります。

今回のヒノキも、割れという「欠点」を抱えているからこそ唯一無二の価値を持っているのです。木材の持つストーリーをどう料理するか。それが無垢材と向き合う醍醐味であり、エコロキアが大切にしている「不便を楽しむ」精神にもつながっています。
まずはアトリエの整理から
もちろん、気持ちはすぐにでも制作に走り出したいのですが、現実的な問題もあります。
それは「アトリエの整理」。すでに多くの木材で埋め尽くされており、これ以上積み上げるのは危険な状態です。木材は正しい環境で保管してこそ、その魅力を最大限に引き出せるもの。まずはスペースを整え、湿度や通気性も考慮したうえで収納し直さなくてはなりません。
制作意欲と同じくらい、素材を大切に保管することも大事な仕事。新しい作品に取りかかる前に、きちんと木材たちが「居心地よく眠れる」場所を作ってあげたいと思います。
これからの制作に向けて
今回仕入れたヒノキは、雷という大自然の力を宿した特別な存在です。
この割れにイエローのレジンを流し込み、雷光を閉じ込めたようなテーブルを完成させる日が今から楽しみでなりません。完成すれば、単なる家具ではなく「自然のドラマをそのまま切り取ったアート作品」として、多くの人に驚きと感動を与えられることでしょう。
天然木との出会いは偶然であり必然。その一期一会を大切にしながら、これからもストーリーのある素材を形にしていきたいと思います。
このヒノキをどう料理するか、今から制作過程を発信していきますのでぜひお楽しみに。
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