コラムフローリング・床材塗料施工・納品事例

無垢フローリングで絶対にやってはいけないこと|樹脂ワックスが招いた床トラブルと「ヴィンテージ化」という選択

コラム

賃貸物件で起きた、無垢フローリングのトラブル事例

入居者様が塗ってしまった「樹脂ワックス」

以前このブログで「無垢フローリングで絶対にやってはいけないこと」としてご紹介した事例があります。

それが杉の無垢フローリングに樹脂ワックスを塗ってしまったケースです。

場所は賃貸物件。
おそらく入居者の善意から、

「床をきれいにしよう」
「ツヤを出そう」

という気持ちで塗られたものだと思います。

しかし無垢フローリングにとって樹脂ワックスは最も相性の悪い存在のひとつです。

なぜ無垢フローリングに樹脂ワックスはNGなのか

樹脂ワックスは床の表面に樹脂の膜を作ることでツヤと耐汚染性を出す仕上げです。
一方、無垢フローリングは木が呼吸し、内部まで湿気や成分が行き来する素材です。

この相性の悪さが原因で、

  • ワックスが内部まで染み込む
  • ムラになりやすい
  • 剥がすことが極めて困難

という事態が起こります。

剥離剤では除去できなかった現実

内部まで染み込んだワックス

その後、ワックス剥離剤を使って除去作業を試みました。

しかし結果は残念なものでした。

ワックスはすでに表面だけでなく、木の内部まで深く浸透しており、さらに塗布ムラも激しい状態。
剥離剤では、どうしても取り切れません。

自然塗料で仕上げても改善しない理由

「それなら自然塗料で仕上げれば…」
と思われる方も多いのですが残念ながらそう単純ではありません。

内部に残ったワックスが原因で、

  • 色ムラが出る
  • 仕上がりが安定しない
  • 見た目がさらに悪化する

という結果になってしまいました。

ここまでくると通常は張り替えという言葉が頭をよぎります。

張り替えの一歩手前で選んだ「ヴィンテージ化」

「直す」ではなく「変える」という発想

それが無垢フローリングのヴィンテージ化です。
「元に戻す」のではなく「まったく別の表情に変えてしまう」という考え方です。

杉が持つタンニンという性質

杉の無垢材は特に赤身部分に多量のタンニンを含んでいます。
このタンニンは、アルカリ性と反応すると黒く変色します。
古いお寺や古民家の杉床が真っ黒になっているのは長年のアルカリとの反応によるものです。

アルカリ反応で現れた、はっきりしたコントラスト

赤身は黒く、白太は反応しない

アルカリ性の洗剤などで反応を促すと杉の赤身部分ははっきりと黒く変化します。
一方で、白太部分はほとんど反応しません。

その結果、赤身と白太がくっきりと白黒に分かれた状態になります。

鉄刀木(タガヤサン)のような表情

この状態は硬さこそ真逆ですが、見た目だけで言えば鉄刀木(タガヤサン)のような非常にコントラストの強い床になります。

これはこれで個性的で面白いのですが、今回は少し濃淡差を抑える方向で仕上げることにしました。

ワトコオイル「ドリフトウッド」で仕上げる

濃淡差を抑え、全体をまとめる

仕上げには、ワトコオイル W-11「ドリフトウッド」を使用しました。
この色は、グレーがかった独特の色味を持っており、強すぎる白黒のコントラストをやわらかくまとめてくれます。

錆びたような、ヴィンテージ感のある床へ

ドリフトウッド特有のグレーが加わることで、どこか錆びた鉄のような、ヴィンテージ感のある無垢フローリングに変身しました。
正直に言えば、樹脂ワックスのシミやムラが完全に消えるわけではありません。

しかし、

「目立ちにくくする」
「味として成立させる」

という意味では十分に価値のある選択でした。

無垢フローリングは「回復」できる素材

張り替え以外の選択肢がある

無垢フローリングのトラブルというとすぐに

「張り替え」
「増し貼り」

を想像されがちです。
しかし実際には、

  • 研磨
  • 染色
  • 反応仕上げ
  • ヴィンテージ化

などリカバリーの方法は複数存在します。

失敗しても、終わりではない

もちろん最初から失敗しないことが一番です。
ただ万が一トラブルが起きても、無垢フローリングはやり直しがきく素材です。
それが合板フローリングにはない無垢材の大きな価値だと考えています。

よくある質問

Q
無垢フローリングに市販のワックスは使えますか?
A

使えません。特に樹脂ワックスは無垢材に浸透し、除去が困難になるため厳禁です。使用する場合は、必ずメーカー指定のメンテナンス用品に限定してください。

Q
ここまで汚れた床は必ず張り替えですか?
A

いいえ。状態によっては研磨や染色、今回のようなヴィンテージ化など、張り替え以外の選択肢があります。まずは専門家に相談することをおすすめします。

Q
DIYでリカバリーは可能ですか?
A

軽度であれば可能な場合もありますが、薬剤反応や色調整は失敗リスクが高いため、基本的にはプロ対応をおすすめします。

張り替えを決める前に、できることがあります

無垢フローリングは扱いを間違えると取り返しがつかないように見えることがあります。
しかし実際には、素材としての懐が深く、回復力のある床です。

張り替えや増し貼りを決断する前に一度、

「直せる可能性」
「活かせる可能性」

を考えてみてください。

エコロキアでは無垢フローリングの研磨・補修・再生(ムクリペ)を通して、最適な選択肢をご提案しています。

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