木のうんちく話

木のうんちく-第3回「樹木のコミュニケーション」

木のうんちく話

樹木が声を持つと云われたら、あなたはどう思うでしょうか?

樹木が鳴く」という表現は一見すると詩的でロマンチックに聞こえますが、科学的にもその可能性が示されています。
樹木が鳴く、または互いにコミュニケーションをとっているという現象は、自然界の奥深さを感じさせる驚くべき事実です。

樹木の「声」を聞く

樹木が「声」を持つと聞くと、多くの人は鳥や風が木々を揺らす音を想像するかもしれません。

しかし、樹木そのものが音を発している可能性について、科学者たちは新しい視点を提供しています。
最近の研究では、樹木が乾燥やストレスにさらされたときに、非常に高周波の音を発していることが確認されています。
この音は人間の耳では聞こえない超音波の範囲にあり、特殊な装置で測定されます。

この音の発生原因のひとつとして考えられているのが、樹木内部の「水輸送」です。樹木は根から水を吸い上げ、葉へと送る過程で、木部内に水の細い柱が形成されます。
しかし、水分が不足すると、この柱が切れて空洞が発生します。
この現象が超音波を伴うと言われており、ある種の「助けを呼ぶ声」とも捉えられています。

樹木同士の「会話」

さらに興味深いのは、樹木が互いにコミュニケーションを取っている可能性があるという点です。

樹木のWWWインターネット?

樹木の根と共生する菌類のネットワークが、情報と栄養を交換する役割を果たしており、これは目に見えない地下ネットワーク「ウッド・ワイド・ウェブ(Wood Wide Web)」と呼ばれています。

ウッド・ワイド・ウェブは、樹木の根と土壌中に生息する菌類が形成する地下ネットワークを指す言葉です。
このネットワークは、菌根菌という微生物が樹木の根と共生することで成り立っています。
菌根菌は樹木から光合成で作られる糖分を受け取り、代わりに土壌から集めた栄養分や水を樹木に提供します。

さらに、このネットワークを通じて、樹木同士が情報をやり取りすることが確認されています。
例えば、害虫被害や病気に襲われた樹木が警告物質を放出し、周囲の樹木が防御態勢を整えるケースが挙げられます。

さらに、老木や親木が若い苗木に栄養を与える事例も観察されています。
この仕組みは、単なる栄養供給に留まらず、森全体の生態系を支える重要な役割を果たしています。

科学と精神性の交差点

樹木のコミュニケーションについての研究が進むにつれ、科学的知見だけでなく、自然とのつながりについての精神的な考察も深まっています。
古くから、世界中の文化において樹木は生命や知恵の象徴とされてきました。
例えば、北欧神話に登場する巨大な世界樹「ユグドラシル(Yggdrasil)」は、宇宙そのものを象徴する神聖な木で、この木は全ての世界を結びつける存在とされており、北欧神話の宇宙観の中心に位置しています。
またアフリカのバオバブの木のように、樹木は文化的、宗教的な意味を持っています。

この視点から見ると、樹木が「声」を持ち、互いに助け合う姿は、私たち人間に重要な教訓を与えているように思えます。自然界は個々の生物が孤立しているのではなく、相互に影響を与え合いながら生きていることを示しています。

私たちが学ぶべきこと

このような樹木のコミュニケーションの仕組みを知ることで、私たち人間はどのように自然との関係を見直すべきでしょうか?

まず、樹木や森を単なる資源としてではなく、生命の一部として尊重する姿勢が求められます。
また、森林破壊や気候変動が、樹木間のコミュニケーションネットワークにどのような影響を与えるかについて、さらなる研究と行動が必要です。

科学が進むにつれ、私たちは自然界の驚異的な仕組みに触れることができます。
しかし、それは同時に、私たち自身がその一部であるという意識を高めるきっかけにもなります。
樹木の声に耳を傾けることは、自然と調和した生き方を見つける第一歩かもしれません。

自然界に広がる「声なき声」を感じ、私たちもまた新しいコミュニケーションの形を模索していきましょう。
それは、人間同士だけでなく、自然との共生を深める鍵となるはずです。

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