無垢材がアルカリ性で変色する理由とは
木材に含まれる「タンニン」という成分
無垢材には、タンニンと呼ばれるポリフェノール系の成分が含まれています。
タンニンは自然界では渋み成分として知られていますが、木材においては防虫性や耐久性に寄与する一方で、化学反応を起こしやすいという性質を持っています。特に鉄やアルカリ性物質と反応しやすく、条件が揃うと色が大きく変化します。この反応は無垢フローリングに限らず、単板張りの複合フローリングや突板フローリングでも同様に起こるため、「表面が無垢かどうか」に関係なく注意が必要です。
変色しやすい代表的な樹種
タンニン含有量の多い樹種ほど、アルカリ性による変色が起こりやすくなります。
代表的なものとして、
- オーク(ナラ / 楢)
- チェスナット(クリ / 栗)
- 杉
などが挙げられます。これらの樹種は無垢フローリングとして非常に人気が高い一方で、清掃や施工時の扱いを誤ると、黒ずみや濃色変化が発生しやすいという側面を持っています。日常的に使われがちな重曹やセスキ炭酸ソーダ、カビ取り剤などが原因になるケースも少なくありません。
アルカリ性洗剤と木材の化学反応
アルカリ性洗剤が引き起こす反応
アルカリ性洗剤はpHが高く、木材中のタンニンと反応することで黒っぽい色素を生成することがあります。
いわゆる「タンニン反応」と呼ばれる現象で、条件によっては短時間で目視できるレベルまで変色が進行します。木材が湿った状態ではこの反応が特に進みやすく、拭き掃除や水拭き直後に洗剤を使用した場合、変色が一気に進むこともあります。
また、洗剤の種類によっては木材表面のリグニンやセルロースにも影響を与え、変色がより深部まで及ぶことがあります。
金属イオンが関与するケース
現場では、アルカリ性洗剤単体ではなく、金属イオンが関与することで変色がより顕著になる場合があります。
たとえば、鉄製のたわしや工具、あるいは鉄骨切断時に飛散した鉄粉が木材表面に付着し、そこにアルカリ性洗剤が触れることで強い黒ずみが発生します。無垢フローリングやウッドデッキの施工現場では、こうした条件が重なりやすく、原因が分かりにくいまま「シミが出た」と相談を受けるケースも珍しくありません。
吉野杉を使ったアルカリ性洗剤の実験
実験に使用した無垢フローリングの条件
今回の実験では、吉野杉の赤身部分を使用した無垢フローリングのカットサンプルを用いました。

サンプルは無塗装状態だったため、一般住宅での使用状況に近づける目的で、オスモ フロアークリアーを2回塗布し、24時間以上乾燥させた状態で実験を行っています。表面がしっかり保護された状態であっても、アルカリ性洗剤がどの程度影響するのかを確認することが狙いです。

カビハイターによる変色の経過

準備したサンプルにアルカリ性洗剤としてカビハイターを直接噴霧しました。

すると、わずか数分で表面に黒変が現れ始め、5分ほど経過した時点で、焦げたような濃い変色が確認できました。

10分程度で色はさらに濃くなり、ブラウンからブラックへと変化し、見た目は焼杉のような状態になります。オイル仕上げで表面を保護していても、アルカリ性洗剤による影響を完全に防ぐことはできないという結果でした。
黒く変色した無垢材は元に戻るのか

研磨による除去の限界
まず試したのは#60の粗目のサンドペーパーによる研磨です。

表面を削ることで変色部分を除去できるか検証しましたが、実際にはかなり深い層まで変色しており、目視で分かるレベルまで削っても完全には除去できませんでした。

これは、アルカリ性による反応が表層だけでなく、ある程度内部まで進行している可能性を示しています。

酸性による中和というアプローチ

次に試したのが、アルカリ性を中和するための酸性処理です。

今回はポッカレモン(レモン汁)を使用しましたが、数分で黒ずみが薄くなり、30分ほどで視認できる黒変はほぼ消失しました。

ただし、元の色調に完全に戻ったわけではなく、シミ部分の色がやや濃く見える状態が残ります。

時間の経過とともにさらに落ち着く可能性があるため、この点については24時間後の状態を後編で改めて検証します。
よくある質問
- Q無垢フローリングの掃除にアルカリ性洗剤は使えますか?
- A
基本的にはおすすめできません。タンニンを多く含む樹種では変色のリスクが高く、仕上げ方法に関わらず注意が必要です。
- Qオイル仕上げでも変色は防げないのですか?
- A
オイル仕上げは一定の保護効果はありますが、強アルカリ性洗剤による化学反応を完全に防ぐことはできません。
- Q変色した場合は必ず削り直しになりますか?
- A
ケースによります。酸性による中和で改善する場合もありますが、深部まで反応している場合は研磨が必要になることもあります。

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