無垢フローリングは「養生次第」で仕上がりが変わる
無垢フローリングは、天然木ならではの温もりと質感が魅力ですが、同時に非常にデリケートな素材でもあります。施工中の現場ではさまざまな粉塵や汚れが舞い、十分な養生がされていなければフローリングは簡単にダメージを受けてしまいます。
その中でも特に厄介なのが石膏ボードの粉です。粒度が非常に細かく、塗膜のない状態やオイル仕上げのフローリングであれば、あっという間に杢目の中へ入り込んでしまいます。
今回ご紹介するのは、神戸市中央区の現場で実際に起きたトラブル事例です。ホワイトオーク一枚ものの無垢フローリングを納品させていただいたお施主様から、「床が白っぽく汚れてしまっている」とのご相談をいただき、現地に伺いました。

石膏ボードの粉が入り込む理由
無垢フローリングと粉塵の相性
石膏ボードの粉は非常に細かいため、表面にウレタン塗装など厚い塗膜があればある程度防げますが、自然塗装やオイル仕上げの場合は杢目に沿って簡単に侵入してしまいます。
今回のホワイトオークもオスモ フロアークリアーで仕上げていましたが、養生のない部分には粉塵や埃がしっかりと入り込み、見た目にも白く濁ったような状態になっていました。
水拭きで消えない理由
水拭きをすると一時的には目立たなくなります。濡れている間は木の色が濃くなるため汚れが隠れるのですが、乾燥すると再び白い粉が浮き上がってきます。これは粉が表面だけでなく、木の導管の奥にまで入り込んでしまっているためです。
やってはいけないNG対処法
汚れを落とそうとして次のような対応をしてしまうと、逆に無垢フローリングを傷めてしまいます。
- 水浸しにする:水分を過剰に含むと膨張や反りの原因になります。
- スチームクリーナーを使う:熱と水分で木材を変形させ、塗装面を傷めます。
- 硬いブラシで擦る:表面を削りすぎて光沢や塗装を損ないます。
現場の実態:養生不足による深刻な汚れ
今回の現場では、正直に申し上げて養生が不十分でした。

- 至るところに土足の足跡
- 石膏ボードの粉や木屑が散乱
- さらに床材に養生テープを直接貼ってしまい、糊残りが発生
これらの影響で、部分補修では対応できず、広範囲にわたる研磨と全面塗装のやり直しが必要となる末期症状に陥っていました。
デモンストレーションとして一部分を研磨しましたが、汚れの深刻さをお施主様に見ていただき、今後の補修方法をご相談する流れとなりました。

養生の良し悪しは施工業者の経験に表れる
養生の仕方を見れば、その施工業者が無垢フローリングにどれだけ精通しているかが分かります。
- 隙間がある養生 → 粉塵や日焼け跡の原因に
- テープを直貼り → 糊残りで表面を傷める
- 床を十分に保護していない → 施工中の傷や汚れの温床に
今回のように施工段階での配慮不足が原因となり、引渡し前に広範囲な再施工が必要になるケースは決して少なくありません。
補修の可能性と限界
石膏ボードの粉汚れは軽度であれば、軽い研磨や再塗装で美しく再生できます。しかし、今回のように広範囲かつ長期間にわたり粉塵が入り込んでしまうと、研磨でも完全には取れず、最悪の場合は貼り替えが必要となることもあります。
さらに、残った養生を撤去した際に日焼けの跡が出てきた場合、それは研磨でも解消できないケースが多いため、早期の対応が非常に重要です。
養生は無垢フローリングを守る最初の一歩
無垢フローリングは「手をかけることで長く美しさを楽しめる床材」です。しかし、施工段階での養生不足が原因で大きな被害を受けてしまうこともあります。
- 石膏ボードの粉は非常に細かく、杢目に入り込みやすい
- 水拭きやスチームクリーナーでは逆効果
- 養生不足は施工業者の経験不足のサイン
- 軽度なら研磨や再塗装で回復可能だが、重度の場合は貼り替えのリスクも
引渡し前に床を汚さない、傷つけないように配慮するのは施工業者として当然のこと。無垢フローリングの美しさを守るためには、正しい養生と適切なメンテナンスが欠かせません。
職人さんが『無垢フローリングは面倒』と云うひとつかも知れませんが、引渡しまで汚れない、傷つかないように配慮するのは当然のことなので、無垢フローリングに限らず養生に気を付けて下さいね。

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