建設会社様からの特別なご依頼
いつもお世話になっている建設会社様から、非常に興味深いご依頼をいただきました。内容は、白アリに喰われてしまった松の板を、ただ廃棄するのではなく、テーブルとしてリメイクできないかというご相談です。

一見すると「傷んだ木材」として扱われがちなこの板。しかし、木の目に刻まれた無数の穴や道は、実は唯一無二の「模様」として見ることができます。自然が偶然生み出した造形美──それこそが、近年注目されている“bricola(ブリコラ)”と通じる世界です。
フナクイムシが生んだ芸術「bricola(ブリコラ)」とは?
bricola(ブリコラ)とは、もともとヴェネツィア港の支柱として使われていたオーク材やパイン材が、長年の海水とフナクイムシの影響によって穴だらけになった木材のことを指します。


このbricolaは、海を渡り、近年ヨーロッパや日本の家具・アートの世界で人気が高まってきました。通常の家具用木材ではあり得ないほどの無数の穿孔は、単なる劣化ではなく、「自然による彫刻」として捉えられています。

この考え方に倣い、今回のような白アリに喰われた松材も、発想次第で立派なアート作品に生まれ変わる可能性を秘めています。
まずは下地処理と着色からスタート
今回の松材も、表面に無数の穴が空いており、まるで虫喰いチーズのような独特の表情を持っています。この特性を活かしつつ、空間に馴染むヴィンテージ感を出すために、まずは「ワトコオイル ドリフトウッド」で着色する工程から始めました。

ワトコオイルは、木材の導管内部までしっかりと浸透し、表面に厚みを作らず、木の呼吸を妨げないオイルフィニッシュとして知られています。中でも「ドリフトウッド」は、まるで海を漂ってきた流木のようなグレイッシュな色合いが特徴で、bricolaに通じるニュアンスを持たせるのにぴったりのカラーです。

塗装前の材にはまだナチュラルな赤味が残っていましたが、オイルをしっかりと擦り込むことで深みのあるブラウンへと変化し、まるで百年以上の時を経た古材のような雰囲気が生まれました。
次の工程は「レジン」でアートに仕上げる
今回のリメイクの最大のポイントは、虫喰いによって空いた無数の穴に「透明なレジン」を流し込むことで、木の風合いを保ちつつもフラットなテーブルとして仕上げるという点です。
この工程は、エコロキアでも数多くのレジンテーブル制作体験で取り入れている手法で、木材の欠損部分や割れ、節抜けなどにレジンを充填することで、見た目のアクセントにもなりつつ、使用上の安全性と機能性も向上させる効果があります。
特に今回は、透明なレジンを使用することで、穴そのものをあえて“見せる”デザインに仕上げる予定です。光の角度によってキラリと輝くレジンが、白アリの痕跡にまるで命を吹き込むような、そんなアートピースとなるでしょう。
この次の工程については、レジン注入から研磨、仕上げまでを追ってこのブログでレポートいたしますので、ぜひ続報をご覧ください。
木材の価値は「美しさ」だけでは測れない
一般的に、虫喰いや節、割れといった「欠点」は、木材のグレードを下げる要素として扱われがちです。しかし、エコロキアではこうした“傷”をむしろ個性と捉え、素材の持つ表情を最大限に活かすものづくりを追求しています。

それは決して妥協ではなく、木が歩んできた歴史を受け止めること。そして、自然が生んだ「偶然」を、唯一無二のデザインとして昇華するという姿勢です。
このような考え方に共感いただく建築会社様や工務店様からのご相談は年々増えており、私たちも木材の新たな価値を見出すために、常に技術と感性を磨いています。
レジンテーブル制作体験でも“ストーリーのある木”を
今回のリメイクのように、ストーリーのある素材を活かす取り組みは、私たちが開催しているレジンテーブル制作体験にも通じています。
エコロキアのレジンテーブル制作体験では、木材の選定からレジン注入、研磨、仕上げまでをすべて自分の手で行うことができます。使用する木材は通常の人気樹種だけでなく、希少材や古材、今回のような“虫喰い材”も可能です。
誰かが見れば「欠点」とされる素材でも、自分にとっての「物語」として取り入れれば、それは世界に一つだけのアートテーブルに変わります。
古びた木に、新たな命を宿す
白アリに喰われてしまった一枚の松の板。それを単なる“被害材”ではなく、“素材の個性”として捉えることで、新たな価値が生まれました。
自然と時間が刻んだ痕跡を活かし、レジンで命を吹き込む──
そんな想いを込めて、今日も私たちは木と向き合っています。
次回のブログでは、レジン注入の工程から最終仕上げまでをご紹介いたします。お楽しみに。
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