木の個性としての「穴」
写真のように、オリーブの無垢板には大きな穴や空洞があいていることがあります。一般の方からすると「これって欠陥?」「どうしてこんな形になるの?」と不思議に思われるかもしれません。実はこれはオリーブ特有の“木の個性”であり、自然の力がつくり出した造形美でもあります。
オリーブは長生きする木
オリーブは数百年、時には千年以上も生き続けることができる長寿の樹木です。とても生命力が強く、幹が傷んでも根元や枝から新しい芽を出して再び成長を続けます。
そのため、幹の中心が空洞になっても、外側の生きた部分だけで養分や水分を運び、木全体が生き続けることができます。この「中心が抜けても生きる」という特性が、穴や空洞を持った独特の形をつくる大きな要因です。
穴ができる主な原因

1. 木の中心が腐る
長い年月の間に、木の中心部分に菌が入り、少しずつ分解されて空洞になることがあります。オリーブは外側だけで生きられるため、この空洞が残り、板にしたときに穴として表れるのです。
2. 枝の跡が抜ける
成長の過程で枝が落ちると、その痕が幹に取り込まれ、やがて「節」となります。時間が経つとその部分が抜け落ち、丸や楕円形の穴ができます。これが「節抜け」と呼ばれる現象です。
3. 虫が通った道
オリーブには虫が入り込むこともあります。小さな虫が木の中をトンネルのように食べ進むと、その跡が後に空洞として残ります。製材したときに、連なった穴のように見えるのはこのためです。
4. 乾燥や気候による割れ
日差しや乾燥、寒暖差によって木に割れ目が入り、その部分がさらに広がって穴になることもあります。特にオリーブは油分が多いため乾燥ムラが出やすく、割れと空洞が組み合わさって複雑な形になることがあります。
5. 傷の巻き込み
剪定や外的な傷を木が修復する際、樹皮ごと巻き込んで閉じようとします。ところが、その部分が後から剥がれたり腐ったりすると、表面に穴のような跡が残ります。
なぜこんなに複雑な形になるのか
木は「傷んだ部分を閉じ込める」性質を持っています。これを専門的には「区画化」と呼びます。その結果、腐る部分と生きている部分の境目が複雑に入り組み、波打ったり、うねったりして、まるで彫刻のような形になります。オリーブは特にこの“区画化”が独特で、穴が連なったり、迷路のような空洞ができやすいのです。
写真の板から見えること
今回のオリーブ板も、中心部が腐って空洞になった部分、枝の跡が抜け落ちた部分、虫の通った跡が重なり合って、個性的な穴の連なりをつくっています。穴の縁が波打ち、木目が渦を巻くように変化しているのは、木が長い時間をかけて再生しながら成長した証拠です。
穴は欠点ではなく「物語」
一般的に「穴があいている」と聞くと欠点のように思えますが、実際にはオリーブにとってそれは“生きた証”です。
枝を落とし、虫に食われ、雨風にさらされてもなお生き続けた歴史が、この板の中に刻まれています。その結果としてできた穴や模様は、人工的に作れない唯一無二のデザインです。

インテリアとしての魅力
こうした穴だらけのオリーブ材は、レジンで透明に固めてテーブルにすると、まるで「木の窓」や「自然のレース模様」のように仕上がります。光を通すと陰影ができ、板そのものがアート作品のように感じられるでしょう。
オリーブの穴は自然からの贈り物
オリーブの板にあいた穴は、木が長い年月をかけて生き延びた記録です。腐朽や枝の跡、虫の道筋や気候の影響が重なり合ってできるその形は、偶然の産物であり、自然がつくった彫刻そのもの。
家具やアートに仕立てるとき、その穴は「欠点」ではなく「個性」として輝きます。オリーブの穴は、木が歩んだ歴史を私たちに見せてくれる小さな窓なのです。


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