島根県の製材所で感じた“木材の未来”と地方の底力
島根県出張で見えた木材の可能性
島根県浜田市の製材所を訪れると、毎回「地方ほど木材の価値を深く理解している」と実感します。今回の出張でも、広葉樹や針葉樹がずらりと並び、レジンテーブルの素材としても魅力的な木材が数多くありました。製材所の方の話はどれも実践的で、木材の乾燥具合、丸太の歩留まり、広葉樹のクセなど、エコロキアの仕事に直結するような話題ばかり。その中で、まさか「セルロースナノファイバー(CNF)」という聞き慣れないワードが飛び出すとは思いませんでした。木材業界の未来の話題が、地方の製材所で自然に語られていることに驚きつつ、まだまだ知らない世界があることを痛感した瞬間でした。
製材所との会話で生まれた新しい興味
製材所の社長が「最近は木の有効活用として、セルロースナノファイバーが注目ですよ」とさらりと言ったとき、正直に言えば僕は全く知らず、「それって何ですか?」と素直に質問しました。すると、「木をナノレベルまで細かくした、軽くて強い新素材ですよ」との答え。帰りの車の中でも気になって仕方がなく、宿に戻ってからすぐに調べてみることにしました。そこで知ったのは、木材が“丸太”としてだけではなく、“成分レベル”で利用される新たなフェーズに入っているという事実。木材の世界は本当に奥が深く、地方の現場にこそ新しい気づきが潜んでいることを改めて実感した出来事でした。
セルロースナノファイバーとは何か?調べて分かった驚きの正体
木材から生まれる“未来の繊維素材”
セルロースナノファイバー(CNF)とは、木材や植物に含まれるセルロースをナノレベルまで細かくほぐした、超微細な繊維素材のことです。

ふんわりした繊維状の質感が特徴で、樹脂・塗料・包装材など多様な分野で活用が広がっている。
調べてみると、鉄より強くて軽い、透明性がある、熱膨張がほとんどないなど、まるでSFに出てくるような性能を備えた素材でした。しかも原料は木材なので環境負荷が低く、日本が世界的に研究をリードしているとのこと。木の内部にある繊維を極限まで細かくして新しい素材にするという発想に、木材の世界の広がりを改めて感じました。普段、エコロキアでは無垢材の表面の美しさや質感を大切にしていますが、木の“成分”そのものを活かす分野がここまで進んでいるとは驚きでした。
なぜDIYでは作れないのか?
調べているうちに、「じゃあ小さな工房でも作れるのか?」という疑問が湧きました。しかし結論としては、セルロースナノファイバーはDIYで作れるような代物ではありません。木材パルプを化学処理し、超高圧ホモジナイザーでナノレベルまで繊維を解きほぐす工程が必要で、そのためには産業用設備が不可欠です。つまり、個人や小規模企業で簡単に扱える技術ではありません。それでも、木から生まれる新素材として知っておくことには大きな価値があり、木材の仕事に携わる身として、こうした技術の存在を理解しておくことこそ未来につながると感じました。
小さな会社だからこそ「知っておく価値」のある木材技術
成分レベルで木材が活かされる時代へ
セルロースナノファイバーの存在を知り、「木材の価値は丸太だけで完結しない」という大きな気づきを得ました。無垢材の風合いや質感といった表層的な魅力だけでなく、内部のセルロース成分までもが現代の技術で利用され、新しい産業を生み出しているのです。これは、木を扱う会社にとって非常に大きなヒントであり、木材の可能性がより多様化していることの象徴だと感じました。規模の大小に関わらず、“木材の現在地”を正しく理解しておくことは、僕らのような会社にこそ必要な視点だと思います。
地方の現場にこそ未来のヒントがある
今回の島根県出張で強く感じたのは、最新の木材活用の情報は都会よりも地方のほうに落ちているということです。山に近い製材所や加工場には、木材を日々扱っているからこそ見えてくる知識があり、その中に未来につながるものが混ざっている。セルロースナノファイバーという言葉を僕に投げかけてくれたのも、都会の研究者ではなく、製材所の現場の方でした。地方に行くことの価値や魅力を再確認できたと同時に、エコロキアとしても現場に足を運ぶ姿勢をこれからも大切にしたいと思いました。
エコロキアが感じたセルロースナノファイバーの可能性
レジンテーブルや塗料にも応用できる未来
エコロキアではすぐにCNFを扱う予定はありませんが、調べている中で「この技術、意外とエコロキアと相性がいいのでは?」と感じる場面がありました。例えば、レジンテーブルで使用する透明レジンにCNFが混ざり、薄くても強度の出る樹脂が開発されれば、より軽量で扱いやすい天板が作れる可能性があります。また、自然塗料の耐摩耗性を高める添加剤としても研究が進んでおり、ウッドデッキや無垢フローリングの仕上げにも応用できる未来が見えてきます。「木の魅力をどう引き出すか」を大切にしてきたエコロキアにとって、新しい技術を知ることは選択肢を広げることに直結します。
不便を楽しむ世界観との意外な相性
僕らの会社は便利さだけを追求するのではなく、「不便を楽しむ」価値観を大切にしています。しかし、だからといって新しい技術を否定するわけではありません。むしろ、木材の魅力を最大化するために必要であれば、伝統的な木の扱い方と最先端の技術をうまく融合することができる。セルロースナノファイバーのような素材を知ることは、未来の木材活用を考えるうえで大きなヒントになりますし、「不便を楽しみつつ、未来を知る」というエコロキアらしいスタンスにもぴったり合うと感じました。
島根県出張での学びと、木材の未来への期待
知らなかったからこそ得られた気づき
今回の島根県出張は、ただ素材の仕入れや下見だけではなく、自分にとって新しい学びを得る時間になりました。セルロースナノファイバーというまったく知らなかった素材を知れたことは大きな収穫で、木材の世界がこんなにも広がっているのかと驚かされました。無垢材の魅力を伝える仕事をしている以上、木材の“未来の姿”を知ることは決して無駄ではありません。むしろ、木と丁寧に向き合っているからこそ、こうした技術の価値を正しく理解できるのだと思います。
不便を楽しむ働き方が、新しい学びを連れてくる
古いルノー4で山道を走り、製材所で貴重な話を聞き、知らない技術を調べる。そんな「不便を楽しむ」働き方だからこそ得られた学びでもあります。最新技術に触れつつ、自分たちの世界観を軸に置いたものづくりを続けていく——その姿勢がこれからのエコロキアの強みになっていくと感じています。今回の記事を通じて、木材の未来や新しい技術に興味を持ってくださる方が一人でも増えれば嬉しいです。
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