日本各地には、その土地の歴史や文化と深く結びつきながら育ってきた巨樹・巨木が数多く存在します。
その中でも ホルトノキ(Holt Tree / Eugenia 属) は、温暖な地域に自生する常緑広葉樹で、四季を通じて緑を保ち、地域のシンボルとして親しまれてきました。
ホルトノキとは?
ホルトノキはホルトノキ科の常緑高木で、主に九州や四国、南西諸島などの温暖な地域に自生します。
樹高は20mを超えることもあり、葉は厚みがあって光沢があり、樹冠が大きく広がるのが特徴です。
「ホルト」とはポルトガル語の オリーブ(Olivastro) に由来し、江戸時代に渡来したオリーブと混同されたことからこの名前が付いたといわれています。
巨樹・巨木としての特徴
ホルトノキは成長が遅い一方で寿命が長く、地域によっては樹齢数百年を超える個体も確認されています。
幹回りは数メートルに及び、根元から力強く枝を広げる姿は圧巻です。
常緑樹であるため、一年を通じて濃い緑を保ち、地域の人々に「変わらない存在感」を与えています。
代表的なホルトノキの巨木
・大分県臼杵市「臼杵城跡のホルトノキ」
樹齢約600年とされ、国の天然記念物に指定。臼杵市のシンボルツリーとして有名です。
・愛媛県や鹿児島県の寺社境内にある古木
地域の守り木として信仰の対象となり、長年大切に保護されてきました。
文化との結びつき
ホルトノキは「榕樹(ようじゅ)」とも呼ばれ、寺社や集落の入口に植えられることが多く、防風や防火の役割を果たしてきました。
また、その堅牢な材は建築材や薪炭材にも利用され、人々の生活を支えてきた歴史があります。
エコロキアの視点から
ホルトノキの巨樹は、単に大きな樹木というだけではなく、地域文化や信仰と密接に関わる存在です。
木材として利用される側面と、シンボルツリーとして守られてきた側面を併せ持ち、人と自然の共生の象徴といえるでしょう。
エコロキアでは、こうした巨樹巨木を「木の物語」として伝え、暮らしと木材の新たな関係性を考えていきたいと考えています。
