木材には家具や建材として利用されるものだけでなく、香りそのものに価値を持つものも存在します。
その代表的な存在が ビャクダン(白檀 / Sandalwood) です。
古くから香木として珍重され、宗教儀式や香道、アロマとして世界中で利用されてきました。
ビャクダンとは?
ビャクダンはビャクダン科に属する常緑小高木で、主にインドやインドネシア、オーストラリアに分布します。
特にインド・マイソール産の白檀は最高級とされ、甘く深みのある芳香を放つことで知られています。
樹齢数十年を経てようやく香り成分が充実するため、非常に貴重な木材です。
木材としての特徴
・心材は淡黄色から褐色で、磨くと艶が出ます。
・樹脂成分を多く含み、伐採後も長く香りを保ち続けます。
・硬さは中程度で、彫刻や工芸品の素材としても利用可能です。
用途
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香木
線香やお香、仏具用の香木として広く用いられています。 -
宗教儀式
インドや東南アジアでは神聖な木とされ、寺院や祭礼で重要な役割を担います。 -
アロマ・精油
ビャクダン精油は高級アロマオイルとして人気があり、リラックス効果や抗菌作用が期待されます。 -
工芸品
彫刻や装飾品に使われ、香りと美観を兼ね備えた作品が生み出されています。
希少性と保護
過度な伐採により天然の白檀は減少しており、現在はワシントン条約(CITES)による規制対象となっています。
そのため流通量は限られ、高級香木として非常に高価に取引されています。
代替としてオーストラリア産や人工栽培のサンダルウッドが利用されることもあります。
エコロキアの視点から
ビャクダンは一般的な建築材やフローリング材とは異なり、「香りそのものに価値を持つ木材」です。
木材が持つ多様な可能性を知るうえで、ビャクダンは非常に象徴的な存在といえるでしょう。
私たちが扱う無垢フローリングやウッドデッキとは分野が異なりますが、木の持つ文化的・精神的価値を伝える一例として重要です。
