浮造り加工が生み出す独特の質感
無垢フローリングの最大の魅力は、なんといってもその「質感」です。その質感を決定づける大きな要素のひとつが杢目(もくめ)であり、その杢目をさらに際立たせる技術が「浮造り加工(うづくりかこう)」です。
浮造り加工とは、木材表面をワイヤーブラシでこすり、柔らかい部分である夏目を削り取り、硬い冬目を残すことで杢目を立体的に浮き上がらせる仕上げ方法です。見た目の美しさはもちろん、触覚的にも「木に触れている」感覚を強く味わえる点が大きな特徴です。実際に素足で歩いたときに心地よい凹凸が伝わり、自然素材ならではの贅沢な体験を楽しむことができます。
浮造り加工におすすめの樹種
浮造り加工は基本的にどの樹種にも施すことが可能ですが、特におすすめなのは杢目がはっきりしている樹種です。
- スギ
日本の伝統建築にも多用されてきた杉は、柔らかい部分と硬い部分のコントラストが明確で、浮造り加工との相性が抜群です。白太と赤身の違いも加わり、より立体的な表情が楽しめます。 - オーク(ナラ/楢)
力強い杢目が特徴のオークは、浮造り加工によってその迫力をさらに強調できます。重厚感のある仕上がりで、モダンなインテリアからクラシックな空間まで幅広く対応可能です。 - アッシュ(タモ)
明るい色味と直線的な杢目が特徴のアッシュは、シャープでモダンな印象を与えます。浮造り加工を施すと、光の当たり方によって繊細な陰影が生まれ、洗練された空間に仕上がります。
これらの樹種は「浮造り」という加工を施すことで、単なる床材にとどまらず、住まい全体のデザインを引き上げる存在となります。
浮造り加工のメリット

滑りにくい安全性
浮造り加工は、見た目や質感の魅力だけでなく実用性にも優れています。表面に凹凸が生まれるため滑りにくくなり、小さなお子様やご高齢の方がいるご家庭でも安心してご使用いただけます。また、ペットが走り回る住まいでも床を傷つけにくく、快適な暮らしをサポートします。
足触りの快適さ
裸足で歩いたときに感じる心地よさは格別です。ツルツルとした一般的なフローリングとは違い、浮造り加工の床は足裏でしっかり木の凹凸を感じられ、「自然の中にいる」ような感覚を味わうことができます。
デザイン性の高さ
浮造り加工は、和風・洋風・北欧風など幅広いインテリアに自然に溶け込むのも魅力です。光が当たると杢目の凹凸に陰影ができ、時間帯によって表情を変えるので、毎日の生活に小さな変化と楽しさを与えてくれます。

他の加工方法との違い
無垢フローリングには浮造り以外にも、さまざまな表面特殊加工があります。
- スプーンカット:表面にランダムな凹凸を付け、手仕事感を演出。アンティーク家具やカフェ風インテリアと相性抜群です。
- ハンドスクレイプ:削り跡を残すことでヴィンテージ感を強調。経年変化との相乗効果で深みが増します。
その中でも浮造り加工は、インテリアを選ばず使いやすい加工方法でありながら、木の本質的な魅力を最大限に引き出すことができる点が特徴です。
浮造り加工が活躍するシーン
浮造り加工は住宅だけでなく、さまざまなシーンで採用されています。
- 幼稚園や学校:滑りにくく安全性が高いため、子どもたちが安心して走り回れます。
- 福祉施設:高齢者の転倒リスクを軽減し、快適な歩行をサポート。
- ペットと暮らす住まい:犬や猫の足腰に優しく、キズも目立ちにくい仕上げです。
- 店舗や商業施設:高いデザイン性と耐久性を兼ね備えているため、集客効果も期待できます。
経年変化も楽しめる浮造り加工
無垢フローリングのもうひとつの魅力は、時間とともに色合いや風合いが変化していく「経年変化」です。浮造り加工を施した床は、年月を重ねるごとに凹凸がより際立ち、独特の存在感を増していきます。最初は明るい色合いだった床が、次第に深みのある落ち着いた表情に変わっていく過程も大きな楽しみのひとつです。


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